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風来亭のフォト日誌

上田市 砥石城址

武田信玄が攻めあぐねて撤退の折に村上方に追撃されて敗北を喫した有名な「砥石崩れ」の城だ。 その後、真田幸隆が謀略をもって奪取して真田氏繁栄の礎を築いた城だ。第一次上田戦争でも重要な役割を果たしたとされる。 ドラマではどのように紹介されるか興味のあるところだ。

砥石城址

米山城址入口社
大河ドラマ「真田丸」で空前の賑わいを見せる上田市。 真田氏ゆかりの史跡は何処も赤い幟が翻っている。
ここ砥石城も例外でなく、米山城址の入口にはなにやら山城風の櫓門が造られていて 、門の正面には劇画風のキャラクターが描かれた額が掲げられていて、ここまでやるか?と苦笑せざるを得ない。
それに魅かれたのかどうか、俄か歴女風の観光客が門をくぐって米山城を目指して登っていく。
我ら歴男一行はここはひとまず撤退して、大手口から攻め上がることにした。



砥石城址

陽泰寺
加賀の白山を開いた高僧泰澄が開創したといわれる古刹で、真田一族の主家筋に当たる海野氏の菩提寺。
この辺りから大手口に向かう谷合の道筋に内小屋の地名が残り、真田昌幸の居館や家臣団の住居があった場所と思われる。









砥石城址

大手口
お約束の六連銭の幟が立てられていたので大手口はすぐに分かった。 米山城址の方の賑わいと比べて静まり返っていて小鳥の囀りさえ聞こえる。
この大手筋は真田幸隆が奪取してから開かれた道だということで、 十一曲がりの道筋の所々の木陰に段郭が切られているのが見える。
村上氏が東信へ進出する拠点としていた時代の大手口は北方の金剛寺峠方面だったと考えられている。



砥石城址

本城の切岸
そろそろ息が上がりそうになったころ、尾根にたどり着いた。
広く平坦な尾根は馬場跡で、右に登れば本城及び桝形城跡、左に下れば砥石城に至る。 第四郭の切岸が見事だ。








砥石城址

本城への道
鞍部の馬場から本城の主郭までは四段の郭を越えて行くが、道筋が往時のままであるかは不明。









砥石城址

本城主郭の虎口
主郭の虎口には石積みの跡がわずかに残り、背後には堀切があり土塁が築かれている。












砥石城址

桝形城本郭
本城からさらに登ると二条の堀切を経て最高点の桝形城址。背後に堀切を隔てて小郭があり、その先は断崖となっている。
村上氏の時代には北の金剛寺峠方面が大手でここが本城だったと思われる。







砥石城址

砥石城
元来た道を馬場まで戻って砥石城に向かう。馬場跡とされるだけあって幅広の平坦な尾根で、遺構らしきものは見当たらない。
主郭背後の大堀切は小笠原系の山城の趣があり、麓まで落ちる竪堀とともに主郭の独立性を確保している。
真田郷や上田方面の物見の城として絶好の位置にある。天気さえ良ければ富士山まで遠望できる。







砥石城址

砥石城から米山城址方面
砥石城址から南西方向の下に見えるのが白米伝説が伝えられる米山城。
「ヨネヤマジョウ」と言ったら、地元のガイドに「コメヤマジョウ」と直された。
米山城方面から何組もの家族連れが登ってきて、本城や桝形城などの核心部に訪れることなく引き返して行った。 勿体ないことではある。
帰途は本城まで引き返し、水の手口の段郭群を樹間に眺めながら旧松代街道まで下りて陽泰寺まで戻った。 登るにはこちらのルートの方が趣には欠けるがはるかに楽なようだ。

2016年3月20日


現地説明看板

長野県史跡 砥石城跡

昭和44年5月15日指定

この城は、東太郎山の一支脈が、神川に沿って南方に突出している高い尾根に構築され、 本城を中心に北に桝形城・南に砥石城・西南に米山城を配した堅固な連郭式山城で、総称して砥石城と呼ぶ。
<本城>
砥石城全域で最も広大で、最上段の本郭から南へ二の郭・三の郭と続き、 その東下または東南方に四の郭・三日月形郭・帯郭群の遺構をよくとどめている。 本城の東南は小さな谷間で、これを登る両側には小郭群が麓まで、幾重にも続いており、登城口(大手)と見られている。
<桝形城>
北方最高所標高800mにあって、自然の山頂を利用している。 郭の西方入口に4平方mの桝形があるのでこの名が付いた。郭は長方形で、手前に半月形の段郭が二つある。
<砥石城>
本城の南に連絡しており、北下りの鞍部に幅9mの深い堀切がある。本郭は方20mの削平方形郭で、周囲の展望は実に良い。

砥石城は村上・真田氏が戦略上重要視し、また重要な役割を果たした城である。 規模が大きく四要害を二体として構築し、しかも居館としても用いられたきわめて特色ある貴重な史跡である。

平成27年12月1日

長野県教育委員会 上田市教育委員会

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