高森町史跡 松岡城跡
昭和62年10月12日指定
松岡城跡は高森町の南部、天竜川を望む標高560mの段丘先端部に立地する。
南東側は比高約100mの段丘崖、北東側は間ケ沢、南西側は銚子ヶ洞と深い沢により浸食された舌状の地形を要害とし、これに多くの空堀や土塁を施して防備を堅固にしている。
銚子ヶ洞を隔てた西方には松岡南城(通称:小城)があり、二つの城が並立する。
築城は南北朝の戦乱の頃といわれ、その後戦国時代に大きな修築が加えられたと考えられる。
およそ200年間にわたって市田郷領主松岡氏の本拠地となり、天正16年同氏の改易により廃城となった。
城内は本丸を除く大部分が開墾されて田畑になっているが、深く掘られた空堀はおおむね残存しており、5つの曲輪が連郭式に並ぶ。
最先端の曲輪Tは主郭と考えられ突端部からの眺望は良好で、特に天竜川を挟む竜東地区を一望することができる。
曲輪Xには松岡氏の菩提寺の一つである臨済宗松源寺があり 法灯を伝えている。
伊那谷には段丘先端部を利用して築かれた中世城跡が数多く存在する。中でも松岡城跡は規模が雄大であるとともに、段丘の城跡として典型的な姿を残している。