例年9月27日に行われる穂高神社の御船祭り。
唐と新羅の連合軍と倭軍とが戦った白村江で倭軍を率いたのが神社の若宮に祀られている安曇比羅夫。御船祭りは敗死した安曇比羅夫の命日に行われる鎮魂の祭りとされる。
白村江の海戦を彷彿とさせる勇壮な祭りだが、御船をぶつけ合っている氏子たちはいたって穏やか、いわゆる喧嘩祭りではない。
御船に乗って笛を吹いている女の子など、度胸がすわっているというか、かなりの衝撃もあるはずなのに怯えた様子もない。
今年の御船祭りはサービス精神満点。例年は3〜4度のところが7〜8回以上はぶつけ合っただろうか、衝突部分が破損するほど繰り返し激突させた。引き上げる時には観客にも綱を曳かせるなど、粋な計らいをして観客を喜ばせてくれた。
海の無い信州で、穂高神社ばかりでなく周囲の神社でもお船祭りが行われおり、これは古代に北九州を拠点とする海人族の「安曇族」が安曇野地方に移住したことを物語るものとされている。
安曇族については諸説・異論はあるものの、壮大な歴史ロマンに誘ってくれる祭りだ。