暑い日が続いていますね。こんな時は高山の尾根道を風に吹かれて歩くか、
涼しげな渓に潜り込んで渓魚と戯れていたいところですが、会社勤めの身にはままなりません。
せめて通勤娯楽で心を遊ばせましょう。
日本の釣りにあきたらずに海外に出掛ける釣り人が多い。
なかにはそのまま住み着いて釣り三昧の日々をおくる釣り人もいたりする。
「
巨大鱒に魅入られてニュージーランド暮らし」
斉藤完治 つり人社 1400円 2001.7.15
「海外を放浪すれば良いコピーライターになれる」などと広告プロダクションを辞め、
どうせ海外に行くなら釣りができる方が良い、さらに「とても安全な国で、
金髪の可愛い女の子が一人でよくヒッチハイクをしている」との野田知佑氏の本にあるのを読んで、
即座に「巨鱒の楽園」ニュージーランド行きのチケットを購入。
昼も夜もどっぷり釣りにつかり巨大なレインボーやブラウンと戯れる日々が続き資金も底を尽きかけた頃、
現地で知り合った釣り仲間から永住権を取ることを勧められる。
移民局の面接官に何をして暮らしていくかと問われて「フィッシングガイド」と答え、あっさりと永住権を取得してしまう。
「やった、もっとここで釣っていられる」
そしてフィッシングガイドとしての生活が始まる。ニュージーランドの日本人ガイドとしては草分け的な存在であり、
およそ10年間に及ぶガイド生活の中での様々な釣り人との出会いや、
ガイドならではの苦労話や裏話など貴重なエピソードが綴られる。
しかし、ある年のオフにアメリカに釣行したことが転機となる。
「マス釣り師の天国といわれるニュージーランドに住みながら、
わざわざアメリカまで来なければフライフィッシングを楽しめない悲哀をしみじみと感じてしまった。
ニュージーランドでの釣りはあくまでも仕事の延長であり、
責任というものがつきまとう。けれど、アメリカでの釣りは、徹頭徹尾、僕だけのもの、
手放しでいられる遊びなのだ。」
そしてガイドを辞める。収入はガイド時代の半分以下になったが、
それでも再びガイドをやろうという気持ちはまったくないという。
「ガイドを辞めてからの釣りがあまりにも面白すぎるのだ。」