ネットで見つけた乗鞍高原のペンションで前泊。空は雨模様だが美味しい料理と温泉でくつろぐ。前夜のうちに頼んでおいたおにぎりを持ってペンションを出たのは午前5時半。
生憎の霧雨模様の曇り空に浮かぬ顔の妻を尻目に登山口の畳平に向かう。この雲の上に出ればきっと晴れているはず!確信に近い思いで高原の曲がりくねった道をグングン飛ばす。
スキー場のリフトが下方に過ぎた頃、カーブを曲がるといきなり太陽の光を浴び雲の上に突き抜けたことを知る。谷間を埋め尽くす雲海、空は快晴。さらに高度を稼ぐと遙かに八ヶ岳、南アルプスの山々が雲海の彼方に浮かんでいる。
畳平のゲート前には開門を待つ車の列が出来ていた。開門は7時、これは知らなかった。山の天気は変わりやすい、登頂を果たすまでこの好天が続き眺望が得られるのか、気がきではなかったので、大黒岳(2777m)までピストン。後で考えると肩の小屋口に車を置いて雪渓を登る道もあったのだ、今回はこれが大正解だった。
ここは絶好の北アルプスの展望台だった。左に笠ヶ岳、その背後に薬師岳、そして右に眼を移せば剣岳、立山、野口五郎、白馬岳、その手前に低く焼岳。その背後には西穂高からジャンダルム、奥穂高岳、前穂高岳の山塊。そして先月登ったばかりの槍ヶ岳が鋭鋒を空に突き出している。
肩の小屋までは車道歩きで足慣らし。肩の小屋から漸く本格的な登山道。ガレ場の斜面を雲に見え隠れする穂高の峰々を振り返り振り返り登る。
コロナ観測所のドームや放射線研究所の赤い屋根がどんどん遠くなって着実に高度を稼いでいるのを知る。
朝日岳と蚕玉岳の鞍部に出ると眼下に火口跡の権現池、雲海の向こうに八ヶ岳や
北岳、間ノ岳、
仙丈ヶ岳をはじめとする南アルプスの山々を展望。
山頂の剣が峰はすぐ目の前。
山頂に到達した頃には北アルプス方面は雲に隠れ、八ヶ岳や南アルプスも霞がち。
それでもかって登った御嶽山や
木曽駒ヶ岳の眺望を充分に堪能。
やがて頂上部がだんだん混雑してきたので下山開始。比較的軽装で登ってくる老若男女の群れ、アルプスで一番お手軽な山だったことを改めて知った。