山頂からは谷川連峰をはじめ武尊山などの山々が残雪を輝かせて連なるのが一望に見渡せ、清々しい新緑の風が美味しい。
金曜の夜半宝台樹山の麓のキャンプ場に到着して焚き火を囲んで野営、日の出とともに蕗やワラビ、ウド、
タラの芽などを求めて急斜面を這いずりながら登るうち、いつしか宝台樹山の山頂に至った。
背中の籠にも両手のポリ袋にも既に山菜が満杯、自分の姿がなにやら新宿辺りの***風に見えたりして汗を拭いながら苦笑。
ここ数年来、キノコ眼の師匠たちとともに取りたての山菜を天麩羅などにして、
蕎麦やら素麺やらとともにその場で味わうことを恒例の行事としている。今回はウド、ワラビが大漁、
タラの芽も天麩羅種の量ぐらいは確保して舌鼓を打つ。
山菜尽くしの遅い昼食の後、師匠たちと別れて沼田で釣友と落ち合う。今度は新しい釣り場を求めてのキャンプ&フィッシングだ。
一雨きた後の夕マヅメをどこで狙うか地図と首っ引きの末、川場村の薄根川上流に向かうことにする。初めての川だ。
川沿いの道を流れを覗き込みながら進むが、魅力的な渓相に我慢しきれずにいくらも上流に上らないうちにもう竿を出す。
もう何度も釣り人が通過して行った後だろうけど、圧倒的な水量の前ではそんなことは些細なことだ、影響は殆どないはずだと、
勝手に納得して流れに降り立つ。でも、やっぱりというか、当然というか、アタリは・・・・無い!
マヅメ時、野営地と定めたのは堰堤上のプールの畔、
6〜7人のFFマンたちが鏡のように静かな水面に向かってロッドを振る。
釣友とともにきれいにループを描いて飛ぶラインの行方を暫し呆然と眺める。初めて眼前に見るフライフィッシングだ。
「リバーランズスルーイッツ」のシーンを彷彿とさせる。宙を舞うフライに挑発されかのようにフライの到達点に魚たちが点々とライズ。
そして次々とヒット、ロッドを曲げてラインを手繰り寄せている。やはり技量にも差があるのか、それと
も釣り座の違いか、
釣り人によって釣果には歴然の差がある。ルアーロッドの準備をしたものの、
邪魔することを恐れて釣りは諦めて湖畔の傍らでキャンプの支度にかかる。
タープを張り、テーブルと椅子をセッティングし、ランタンに明かりを灯す。ツーバーナーもセットしたし、焚火の用意もした。
だがしかし、魚が無い!「分けてもらってくるよ」と釣友が明るく一言、
暗い水面に向かってキャストを続けるFFマンたちのところに交渉に出掛ける。
こんな時の釣友は頼もしい。
やがて暗やみが辺りを包み盛大な焚火が夜空に映える頃、
最ベテランとおぼしき人が「はいよッ」と無造作に魚篭を手渡して寄越す。
いづれも23〜24センチ位の型揃いのイワナ、6尾。
「あたらせてください」といってイワナを持ってくる釣り人までいたりして焚火の周りは大賑わい。
心ばかりのお礼にと冷えた缶ビールを配って乾杯!炎に照らされた釣り人の顔、いい顔してる。
全員地元群馬のFFマン。「群馬の人って、いい人が多いんだよな」と釣友、かく言う彼も群馬は渋川の出身。
焚火で燻したイワナを5尾づつ美味しく食べて熟睡。
翌朝、気が付いた時には湖畔には既に釣り人の車が3〜4台駐車していて、
5〜6人がフライロッドを振っていた。だがもうFFマンたちの邪魔をする気は殆ど無くて、昨夜彼らに教えられたポイントに移動すべく、
のんびりと撤去を開始。FFマンたちの中に昨夜の釣り人を見つけて声を掛ける。今日はまだイマイチ反応が無いとか。
水温6度、底まで澄みわたり、渓相は最高、僅かな記憶ではこんな渓に限って釣れたためしが無い。確信が持てない釣りは辛い。
ウドや蕗ばかりが眼につく。釣友とともにテンカラで3時間余りも交互に遡行して、そろそろ諦めかけた頃、
釣友に辛うじて18センチのイワナが2尾。昨夜のFF師にもらった毛鉤で釣ったとて歓喜雀躍、
私もなんとなく納得、堪能した気分になって納竿。
群馬は川場村での素晴らしい穴場の発見と出会いに満足しながら、
渋滞の始まる前の関越高速道を快適ドライブで帰途についた。