天気予報では「曇りのち晴れ」だというが、小谷村に入った頃はポツリポツリと雨が降ってきた。ここまで来て今更引き返すのも悔しいので、
とりあえず登山口の駐車場を目指す。いよいよ駄目だったら鎌池か大渚山を巡って温泉にでも入ればよい。
しかし、登山口の駐車場に着いて驚いた。すでに駐車場は満杯、道路にまで駐車の列が続いている。
雨は止んだものの周囲の山は霧に隠れて見えない。それでも身支度を整えた登山客が次々と登山道に向かっていく。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と言う訳ではないけれど、天気予報を信じて出発する。
霧の中の登山はひたすら歩くだけ。熊の出没が例年の3倍以上もあるということで、鈴をつけている人が多い。
前後にシャンシャンと鈴の音を聞きながらひたすら歩く。
スロウペースの我々は後から登ってきた人に次々と追い抜かれる。
夜行バスで鳥取から来たという25人の団体さんにまで追い越されてしまう。既に登頂して下りてくる団体さんもいたりして、狭い登山道は時折渋滞する。
「何も見えなかった」とボヤキながら下りてくる。4回登って未だ一度も日本海を眺めたことがないという人も。
霧に包まれた山頂は大勢の登山客で賑わっていた。しかし展望も無く風も冷たいので記念写真を撮ると早々と下山して行く。
ガレ場を過ぎ荒菅沢に近づく頃から漸く霧が薄くなり、紅葉の山肌が眺められるようになった。
仕舞い込んでいたカメラを取り出してシャッターを切り続ける。
日差しが無いのが残念だが名にしおう雨飾山の紅葉を愛でられたのは幸運だった。
登山口付近の細流の中に尺岩魚が人の気配に怯えるでもなく悠然と泳いでいるのを見つけた。
そういえば今年も山に明け暮れて釣りはただの一度だけだった。
帰途はお約束の小谷温泉の露天風呂。登山客でイモ洗い状態と思いきや他には二人だけで、
暗くなった林間の天然温泉を心ゆくまで楽しんだことではありました。