アテにならないもの。天気予報と山の案内看板。今回の山歩きもそれを思い知らされることになった。
晴れるとの天気予報を信じて多少の曇り空もなんのそのということでとりあえず出発。しかし志賀高原に入ると10メートル先が見えない濃霧。
渋峠までの霧を突き抜け群馬県側に入ると今度は渋滞。白根山の湯釜展望台下の駐車場に車を入れた頃には霧雨が降り始めてきた。駐車場にはひっきりなしに観光バスが入ってきて観光客を吐き出す。
そんな湯釜見物の観光客をかきわけて出発。なんとも場違いなスタイルではある。
湯釜と逢ノ峰は今回はパスして、白根火山ロープウエイ駅まで無料のシャトルバスを利用させてもらう。
ここで身支度を整えてから登山口を探す。
地図の看板はあるのだが全くアバウトでいい加減!入口の標識も無い。
一人の登山者が脇道に入っていったので追いついて尋ねてみたがやはり自信はなさそう。
だが休業中のレストハウスの庇の下で休憩していたグループに声をかけたら、今歩いているこの心細い道がそれだという。
斜面に切られた山道を暫く進むと紅葉の樹林帯に入る。降りてくる登山者のグループと何組もすれ違う。
草叢にゴゼンタチバナの赤とシラタマノキの白い実が散らばっているのが印象的な山道だ。
途中鏡池の展望台を経るが霧で何も見えない。ただただ紅葉と霧を愛でながら樹林帯を抜けるとハイマツ帯に続いて砂礫の尾根道。
どうやら火口丘のようだ。おそらく右手には釜があるのだろうけど相変わらず雨模様の霧のために視界が得られない。
丸太で仕切られた両側に枯れたコマクサが名残を留める。クロマメノキが赤く色づき文字通り黒い果実を実らせていた。
時折、硫黄の臭いならぬ獣の臭いが風に乗ってきた。カモシカか?
暫く登ると霧の中にケルンのようなものが見えた。山頂かと期待したが遭難慰霊碑だった。
もっとも白根山は山頂と三角点は立ち入り禁止なので遊歩道上のポイントをもって登頂したとみなすことになるとか。
しかし分岐点にある案内地図は全くのデタラメ!
慰霊碑が建立されている場所を山頂とし、ロープウエイの山頂駅を山麓駅と表記してある。もう数年前に設置されたと思われる金属プレートだが未だに撤去も訂正もされていないとは・・・。
そのすぐ脇には正しい案内標識が立っているだけに、これはいったい何なのかと思う。
ともあれ、山頂に代わる到達ポイントになんとか立って記念写真に納まってから下山開始。
下山ルートは火口跡(霧で全く見えないが)を時計方向にぐるっと廻って戻る感じ。こちらのルートは木道が作られて良く整備されているが、それだけに面白味が無い。だが、こちらが正しい?登り道のようで、
これから山頂を目指すパーティに何組も出会った。
そして、たどりついた登山口。そこの案内標識には「白根山まで30分」とあった。をいをい、下りでも5〜60分はかかったぞい!駆け上れとでも言うのかな?
だが、そんなこんなに関わらず百名山に相応しい山だった。ゴゼンタチバナの赤い実を撮り損ね、満員御礼で万座温泉にも浸かり損ねたので近いうちに再訪することとしよう。