「花三昧」の2日目は八方尾根を目指す。ペンションのマスターに教えられた黒菱林道終点まで車を乗り入れて、そこからリフトで黒菱平、さらに標高1850mの八方池山荘まで一気に到達。
天候はイマイチなれど3連休の中日とて山荘前は観光客の群れで満員大盛況。本格的な登山スタイルの人など僅かなもの、スニーカーはまだマシな方、サンダルありハイヒールあり、革靴、スーツ姿有りで大賑わい。そんな行楽客の群れが八方池方面に向かう緩やかな山道を埋め尽くしている。
時々渋滞をきたすのは決まって誰かが新しい高山植物を見つけたときだ。すぐに見物人が殺到し、口々に花の名前を確認しあう。時折雲間から山頂が顔を見せると歓声が上がる。
花に引っかかり人につまづきながらたっぷり2時間かけて到達した八方池。周囲を埋め尽くす人の群れさえ無ければ極楽浄土と見紛うばかり。昨年の今頃は病院のベッドだった。再び山歩きができるなどとは思いもしていなかった。
観光客のいない天上の楽園を想い描きながらいつかこの地を通って今は雲に隠れている唐松岳を目指したいものと密かに決意する。