昨年までは武尊林道への乗り入れは禁止されていたが、今年から登山者に限り乗り入れOKという粋な取り計らいのお陰で林道終点からの出発。だが今回も空は雨模様。それでも昨今の百名山ブーム、完全装備の登山者が三々五々と入山していく。そんな勢いに引きずられるようにして我々も出発。
手小屋沢避難小屋までは雨の滴のざわつきを気にしながらの急登。色づきを増したブナの原生林が美しい。時折木々の合間から薄日が射し始めた頃、漸く尾根道に到達。かまぼこ型の小さな避難小屋を後学のために見学。文字通りの避難小屋、緊急時以外には使いたくない(^-^)
武尊山に向かう尾根筋は修験道の行場らしく、つい一週間ほど前に取り付けられた真新しい標識がところどころに設置されている。曰く、行者の相撲場、行者ころげの坂、胎内潜り、大日如来、観世音菩薩・・・・・地図上にプロットすれば退屈しないですむかも。梯子あり鎖場ありの変化に富んだ尾根道、右手に槍ヶ岳かと見まがう剣ヶ峰山が姿を現したので息を飲む。
山頂には既に先客がおよそ20名ほどもいて大賑わい。ありがたいことに地面は乾いており、くつろぎのスペースは確保できた。雲のために360度と言われる展望は得られないものの、今回に限って何度も途中で撤退を考えたためか山頂に到達できた満足感はまた格別。
下りは剣ヶ峰山方面に向かう尾根道を選ぶ。1900m級のアップダウンの続く快適な稜線上の道だ。振り返ると武尊山の意外な大きさに驚く。剣ヶ峰への稜線と、前武尊・川場剣ヶ峰の稜線とが川場谷を抱くような形で山頂に続いている。川場谷の原生林も美しく色づき始めている。もしかしたらこの剣ヶ峰への尾根道が上州武尊山登山のハイライトと言うべきかもしれない。
剣ヶ峰山分岐からはぬかるんだ泥道でしかも急坂。滑りつ転びつ泥まみれになりながら谷底に向かってただひたすらに降る。予想外に時間を食い、足下の明るい内に登山口に帰り着けるかさえ不安になった。途中でやはり泥道に悪戦苦闘して停滞している3人連れを追い越す。
疲労困憊して登山口に到着。登山口には仲間の遅れを心配している二人の女性登山者がいた。先ほどの仲間らしい。あの様子だと30分以上は遅れるのではと教えてあげる。帰り支度をしている最中にも辺りはすっかり暗くなり、ヘッドランプを点けた登山者が続々と降りてくる。その度に声を掛けて別人だと知ると益々不安を募らせているようだった。でも、きっかり30分後、件の3人組は無事に下山してきた。千葉からの山仲間で今日は宝台樹キャンプ場でキャンプするのだとか。
湯ノ小屋温泉は連休のために入れなかったので洞元湖温泉で汗を流してから帰途に着いた。