冬は富士山を展望する山旅と決めている。今回は相模湖畔の石老山。
相模湖病院の駐車場を拝借して車を置き、奇岩怪石を左右に見ながら顕鏡寺の参道を登り始める。滝不動、屏風岩、仁王岩、駒立岩、文殊岩、などなど、一つ一つの解説文を読みながら進むといつしか石老山顕鏡寺。二千年の歴史を誇るという古寺。誰が撞くのかゴ〜ンと突然の鐘の音に驚く。
樹齢400年の杉を見上げ、六地蔵を拝んで鳥居をくぐって石の坂を登る。ここからも奇岩怪石の大岩を縫いながら登る。弁慶の力試し岩は弁慶が拳で突いた跡だと言われているが、そんなことが出来るわけがない石が抜け落ちた跡だろう、とか、八方岩と名付けられているが八方が見渡せる訳ではなく、東南方向だけだ、とか、名称の謂われを説明した後でそれをいかにも客観的に否定する注釈が面白い。
奥の院の飯縄大権現を過ぎて暫くすると融合見晴台。相模湖を眼下に眺める。そこからは暗い杉木立の中をゆく単調な尾根道。
どこまで続くのかと飽き始めた頃、一旦降って登り返してあっけなく山頂。富士山と丹沢山塊方面の木立だけが切り払われたお手軽な展望台だった。真っ白な富士を眺めながらコーヒーを沸かして一服。
帰りも同じ道をたどる。駐車場で着替えをしながら見るとはなしに病院に視線をやると、青く塗った建物に鉄格子のはまった窓が異様だった。