時ならぬ寒さと春の雪に邪魔されて、釣友と申し合わせていた初釣行を諦めたのは昨日のこと。差し込む陽の光に眼を覚ますと、今朝は打って変わっての快晴。時間も時間だし荒川本流か浦山川あたりで竿を出せればと、とりあえずは秩父方面に向かって車を走らす。今日はフライにしようかそれともテンカラにしようか、とにかく餌釣りだけは絶対にすまい!と車中で密かに誓いながら車を走らせる。
青梅街道を青梅市まで、青梅から成木川沿いに小沢峠、そして名栗川を遡って山伏峠を越え、横瀬川を下って横瀬町、秩父へと向かうのが私の常道。
ところが本日解禁の成木川で見てはいけないものを見てしまった。解禁日のこととて狭い渓流に竿が林立しているだろうとの予測はその通りだったのだが、いっこうに釣ろうとしている様子が無い!釣り人全員が何かを待っている様子なのだ。
すぐにその疑問は解けた。荷台に水槽を搭載した軽トラが魚をデリバリーしながら釣り人が待つ渓流沿いの道をゆっくりと移動していた。釣り人がまるで給食を待っている餓えた人々に見えてきた。もっとも自然の再生産能力を失った大都市近郊の川なんて毎シーズン毎に魚を補給しなくっては釣りが成立する訳もなく、魚が先に川に入るか釣り人が入るかの違いでしかないのかも。
すっかり釣欲が失せてしまって芦ヶ久保でカタクリの花見物に切り替えて日向山に登る。山頂からはかって登った武甲山や大持山、武川岳、遠くは冠雪に輝く甲武信岳を遠望できた。カタクリの花は残念ながら昨日の寒さで蕾を固く閉じてしまっていた。