”富士山を眺める”というのが最近の冬山歩きのコンセプト。しかも日帰りでなければならない。そこで選んだのが忍野八海にほど近い杓子山。暴走族取り締まりの余韻で渋滞する中央高速を通って忍野八海に到着したのは既に10時過ぎ。冠雪した富士山が青空に輝いている。
登山口を求めて未舗装の脇道やら林道を走り回るが、こんな時カーナビはとんと役に立たない。道が表示されないのだ。それでもなんとか山頂まで最短距離の登山口に到着、例によってお手軽登山の開始。ゲートから単調な林道歩きが続く。時折姿を見せる富士に雲が掛かり始めている。山頂に着くまで天候が持つかどうか気がかり。大権道峠からはようやく山道らしくなった急坂を、富士を振り返り振り返り登る。
杓子山山頂の小さな祠にはお神酒と米粒が供えられていてちょっぴり正月気分。山頂から見渡す山々は雲に霞み、辛うじて三つ峠や御坂黒岳など近隣の山々が富士山に向かって顔を揃えている。強風に煽られて富士山頂の雲も頂きにまとわりついたり離れたりと刻々とその姿を変えている。山中湖が陽光を浴びて輝いている。
杓子山山頂から暫し富士の景観を楽しんだ後、鹿留山に向かう。展望は得られないというものの杓子山より若干高いのだから未到のまま捨て置けない。痩せ尾根伝いに右手に富士山と山中湖を眺めながら30分、寒い林の中のブナの巨木に塩ビの山頂標識が風に吹かれてぶら下がっていた。
下山後、夕景の富士を求めて山中湖に向けて車を走らせるうち、大勢のカメラマンが三脚を構えている撮影ポイントを発見して仲間入り。山頂をかすめていく雲にあたる夕陽の彩りの変化を待っているようだ。ふと振り返ると先ほど登ってきた杓子山、鹿留山の山並みが静かに横たわっていた。