東京都で一番高い山、日本百名山の一つでもある雲取山に最短時間で楽に(^-^)登れるルートはないものかとインターネットのHPや山地図とにらめっこしたあげく、一か八かで日原渓谷を目指す。運が良ければ林道日原線をどんづまりまで車を走らせて唐松橋辺りから大ダワ林道または富田新道で3時間程で登頂できるハズ。
ところがドッコイ、八丁橋のゲートが開いているので入ろうかどうしようかと逡巡するうちに、道路工事のブルドーザーがガタゴトと降りてきて無情にも遮断機を目の前でロックされてしまった。橋の下の日原川が水量豊かに魅惑的な渓相を見せていた。結局この日は後山林道をどん詰まりの青岩谷出合まで詰めて車中で仮眠。屋根を打つ雨の音になかなか寝付けなかった。
夜半のエンジン音とライトの光で目を覚ます。雨は止んで空は満天の星。夜明けとともに急に周囲が騒々しくなってせかされるようにして起床。簡単な食事の後身支度を整えて出発。
青岩谷出合から三条の湯までは左手遙か下に三条沢の流れを見ながら細い山道を行く。流れの美しさに見取れていると吸い込まれそうな深い渓だ。山小屋としては不思議な風情のある三条の湯を過ぎて青岩谷鍾乳洞分岐までは標準コースタイム通り、紅葉がだんだんと深まって行く。山道の傍らでシイタケを、次いでブナシメジの群生するを発見。でも今日は山登りがテーマ、採取の楽しみは帰途に取っておくことに。
ブナシメジの群生を発見してからというもの山道の傍らに点在する枯木の根元が気になって落ち着かない。果たしてあのきのこは帰りまで無事であろうかとも。そんなこんなで落ち葉を踏みしめてひたすら距離を稼ぐ。ふと振り返れば木立の間に富士山が姿を見せる。初雪のニュースを聞いた覚えがあるが頂きに冠雪はない。三条ダルミからは急登、雲海の上に富士山がその姿を見せてくれているうちにと気が焦る。やたらと富士山に向かってデジカメのシャッターを切る。
急登約40分、ようやくたどりついた山頂の標識。雲海の彼方に富士山が浮かび、大菩薩嶺、雁ヶ腹摺山、三つ峠を見渡す絶景。お約束の記念写真を撮り、バーナーで湯を沸かしカップ麺とコーヒーを啜りながらのんびりと過ごす間にも登山者が続々と上がってくる。ふと気がつくとそのうちの何人かは山頂の標識を無視して通り過ぎていく。木の陰で見えないがさらに奥の方を目指しているようなのだ。帰途の荷造りを終えてから気になる木陰の方を偵察に行ってみた。
なんと!真の山頂は木陰に隠れた所にあった!山頂の一角に到達しただけでそれと気がつかずに帰ってしまった人も多いかもしれない。本当の山頂からは写真で見慣れた山頂の標識の背後に富士山、大菩薩嶺、その右手に南アルプスの山脈、そして奥秩父の山々、さらに八ヶ岳の赤岳さえ展望する大パノラマが広がっているではないか。双眼鏡を片手に展望盤にかぶりついてかって登った山の同定に熱中。
山頂で予期せぬ時間を費やしてしまったため、あのキノコたちは無事かと、帰途を急ぐ。案の定ブナシメジは取り尽くされていたが、目立たぬシイタケは無事だった。一息入れた三条の湯でベンチ代わりに置かれた切り株にはムキタケが生えていて、思わず「ラッキー!」と叫んでしまった(^-^)
今年はこれで百名山のうち七座に登頂、今回初めてほぼ標準のコースタイムで歩けたことに満足。