かねて念願の北岳登山に備えて早起きしたものの、中央高速道の事故渋滞とカーナビの誤作動で、北岳の登山口にあたる広川原に到着したのは既に正午近く。目的地を芦安村とインプットしたはずなのにいつのまにかカーナビが目的地にしたのは同じ山梨県でも芦川村。カーナビ君の裏切りに気がついたのは芦川村の手前の上九一色村。精進湖だの河口湖だのと標識が出てきて初めて異変に気がつく。目的地を再入力したものの目指すは再び芦川村。なんとか芦安村付近にたどりついて再び芦安村を入力してみると、カーナビは再び芦川村に向けて水色の線を走らせる。帰ったらメーカーにクレームをつけようと決意して(^-^)、登山の身支度を整える。
広河原の吊り橋を渡れば登山口、白根御池小屋を目指して歩き始める。鬱蒼とした樹林帯の急坂を登る。初日は無理せずに約3時間のウオーミングアップの歩き。途中母子連れの下山者に出会う。息子に連れられて昨年の槍ヶ岳登山に続いて2度目にして北岳登山とか、年格好も我が家と同じ様子に我が女房うらやむことしきり。
工事現場のプレハブ風の小屋は多少興ざめだが、空いているのがなにより。夕食はカレーライス、キュウリのスライス2枚、キャベツの千切り少々、マッシュポテト一口分、他にスープ。テン場で自炊している登山者がうらやましくもあるが、まあ、良しとする。
職場のグループか、古典的な?山の歌のコーラスで夕食後の一時を楽しんでいる。音程を外れているのが二人ほどいて、これもまた微笑ましい。
小屋の前からは白砂で輝く鳳凰三山の峰々が美しい。
翌朝は午前4時半起床。贅沢は言えない朝食の後、稜線を目指してひたすら「草すべり」の道を登り始める。登山道の周囲には、 ハクサンフウロ、ヒメシャジン、シモツケソウ、センジュガンピ、クガイソウ、タカネグンナイフウロ、ミソガワソウなどの花々が咲き乱れて、登りの苦しさを忘れさせてくれる。背後の鳳凰三山がどんどん低くなる。小太郎尾根までは約3時間の急登、尾根からは富士山、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳を一望、疲れを忘れる一時だ。
小太郎尾根から肩の小屋を経て北岳山頂へ、ゆったりとした山塊の仙丈ヶ岳を右に眺め、振り返れば青い屋根に枕が並べられた肩の小屋、その向こうには甲斐駒ヶ岳にかかる雲が刻々と姿形を変えている。
中高年の登山ブームと言われて山は年寄りばかりのイメージがあるが、どうしてどうして若いカップルや単独行の青年ばかりか、テントを担いだうら若き女性までいて、山頂は老若男女で大賑わい。
北岳山頂(3192m)からは宿泊予定の北岳山荘の赤い屋根と間ノ岳を眺めながらの尾根歩きが爽快。
そこかしこに咲くチシマギキョウやタカネツメクサ、タカネミミナグサ、ミヤマキンバイが嬉しい。
写真撮影を楽しみながら山荘到着は午後2時半。
「本日混雑につきふとん1枚に二人」との表示に困惑するが、この日は空いていて一人宛一枚確保で一安心。
山小屋の朝は早い。4時起床、4時半朝食で5時半には既に間ノ岳に向かう稜線上を歩いている。 雲海の向こうには富士が浮かび、背後には第二の高峰北岳(3192m)が黒々と鎮座し、 前方には第四位の間ノ岳(3189m)が朝日を浴びている。 右手遙か遠くにはかって登った中央アルプスの宝剣岳がすぐにそれと判る特徴ある姿を見せている。 白根中岳(3055m)から間ノ岳まで尾根をたどり岩峰を巻くアップダウンの道が続く。 時として足の踏み場に困るほどに、そこかしこに咲き乱れるチシマギキョウ、タカネツメクサ、 シナノキンバイ、ミヤマシオガマ、ヒメコゴメグサ等の高山植物の数々。 デジカメに納めるのに夢中で一向に距離が稼げず間ノ岳山頂到着は七時半頃。 さらに南方にある農鳥岳、塩見岳に未練を残して折り返すことにする。
往きには見つけられなかった花を帰り道で発見して停滞。
トウヤクリンドウ、そしてミヤマオダマキ。
さらにはシナノキンバイとミヤマダイコンソウの違いが気になってなかなかはかどらず、荷物を預けた北岳山荘に戻ったのは既に9時半。小休止の後10時下山開始。山荘からのトラバース道はまさにお花畑の中。
北岳直下の断崖に架けられた橋や梯子を伝わり歩きしながらその美しさに妻と感嘆の声を上げる。
しかし谷から霧が吹き上げて来たので花々に見とれてばかりでは足元が危ない。
北岳からの下山道との出会いには11時半着。そこからは岩場を跳び、梯子につかまりながら急峻な尾根を下降、
これから山頂を目指す登山者とのすれ違いでしばしば渋滞。
八本歯のコルで岩場に咲く可憐なタカネビランジを発見、
またまた大休止。
八本歯からは大樺沢二俣を経て大樺沢沿いの長い道のりをだらだらと下る。
これから山頂を目指す登山者が所々で顎をだしている。
到達できるのが心配になるようなほとんどバテバテの登山者も。
草すべりコースよりは沢あり雪渓ありで変化に富むもののかなり厳しいコースのようだ。
広河原到着は午後6時10分。妻の体調がおもわしくなくいこともあって、
なんと地図上の参考タイムの2倍以上もかかってしまった。
100名山を一度に二座、しかも第2、第4の高峰に登頂したことで大満足。