NHK大河ドラマ「天地人」のオープニング映像で主人公が立っているのが八海山ということで、俄然人気を集めた山。
ロープウエイで標高1147mの4合目まで行けるとあって、山麓駅8時の始発は登山客で満員。
「妻夫木クンもこれに乗ったんですか?」との乗客の質問に、
ヘリコプターで飛んできてヘリコプターで帰ったとの乗務員の声に、
期せずして車内からは落胆とも納得ともとれる失笑が聞かれる。
「口外しないでと言われているから、皆さんも内緒にしておいてください」と続けると、
笑い声が響く。
8合目の薬師岳の平場までヘリでやってきて30分ほど登る地蔵岳の山頂で撮影したようだ。 ヘリでやってきたのは「天地人」の公式ページに載っているから秘密でもなんでもない。 冗談の好きな乗務員だ。
千本檜小屋の背後にそびえる地蔵岳。
花の少ないこの時期にホツツジが嬉しい。
「天地人」のオープニングシーンの山だ。
9合目の千本檜小屋までおよそ3時間。日頃の不摂生が祟って既にヘトヘト。 八つの峰を踏破する上級コースは諦めて初級者向けの迂回路を選ぶ。
だが、こちらのコースもなかなかのもの。
黒部の奥の廊下を連想させるような断崖の道や何段もの梯子に掴まっての急な登り。
「とても迂回路とは思えない」などと、立ち止まって一息ついているカップルのボヤキが聞こえる。
青々とした水田の広がる魚沼地方や兼続と 景勝が生まれた坂戸山を眼下に眺めながらのスカイウオーク。
見上げれば礫岩の岩山が連なっている。上級コースは岩峰の上を鎖に助けられながら行くようだ。
時々登山客の姿が山頂に見え隠れする。
八海山の名前の由来は岩峰が八つあることからという。
だが、「峰」が「海」とは。
三日月の形に整った池。かってこのような池が八つあったというのが名前の由来ともいわれている。
「池=海」なら許せそうだが、なんとも心許ない「海」ではある。
迂回路を辿っておよそ1時間。ようやく八つ峰の一番奥にある大日岳直下に到達。 礫岩の見上げるような岸壁に鉄鎖が二本垂らされていて、その傍らに遭難慰霊碑のプレートが埋め込まれている。 まずは最初の岩棚まで登ってカミさんを待つ。ところが慣れていないカミさん、 鎖が揺れてあわや転落というところ。 順番待ちの三人組が驚きの声をあげる。
駒ケ岳の方から縦走してきたという女性一人を含む三人組、
躊躇している我々を尻目にスルスルと岸壁を登って行った。
再挑戦することもなく涙をのんで撤退。
途中、場違いなタンクトップの街歩きスタイルの若い娘に
「こんにちわ〜」と爽やかな声とともに追い越された。
ヘリの着陸地点で出会ったから妻夫木ファンか?
益々疲労困憊してロープウエイの山頂駅にたどり着いた。