紅葉が終わって枯葉が散り藪草も枯れて、雪が舞い始める直前の今頃が安曇野の山城を攻めるチャンス。
比高差はそれ程ないが荒れ果てた山中にひっそりと残る山城にアクセスするには、熊とスズメバチと蛇の脅威が無いこの時期に限る。
今回はかねてから気にかかっていた潮沢の花見城を攻めてみた。
地図では城域のすぐ傍まで車道が通じているはずだが、
すれ違いもままならぬ急坂なので旧篠ノ井線のケヤキの森に車を置いて登り直すことにした。
廃線敷から少し上ると、山の斜面に数件の農家が点在する花見集落。集落よりやや小高い場所にある三峰神社を左に見上げてさらに進むと、
虎口の遺構と思われる場所に到達。右側は深い谷となって落ち込み、左側には郭と思しき削平地に打ち捨てられたビニールハウスが建っている。
虎口を入るといきなり視界が開けて左手に城ノ平と呼ばれる緩斜面が広がっている。
城ノ平には城主の館や守備兵の根小屋があったと思われる。
右手には数段の削平地があって、耕作を放棄した田圃かもしれないが段郭跡にも見える。
途中の倒木にスズメバチの巣があってビビったが、道なりに進むと花見配水施設。
遺構はここから北に向かう尾根筋に残されている。
城域に入ってすぐのピークの郭と、西側の下段の2基の墓石が立つ郭とがこの城の枢要部と思われる。
尾根の東側は急崖で会田方面を望むことができる。
西側には城ノ平が広がっている。
尾根筋をさらに進んで上り返したところが三角点があるピークで、ここが本郭と思われるが、いかにも狭い。
見張り台か狼煙台か。潮沢沿いに本城村に抜ける街道と、松留沢沿いに会田に間に抜ける道筋の監視には好適な位置にある。
また尾根筋を南にたどれば三峰城・佐々野城を経て会田川筋に降りることができる。
鎌倉時代に東信から進出してきた海野氏の一族・会田氏の出城だったと推測される。
城ノ平に戻って振り返ってみると、城址の尾根が根小屋があったと思われる城の平を抱きかかえているかのように見える。
尾根は南側に向かってさらに高度を増しているので、もしかしたらこちらにも遺構があるかもしれない。
遺構が確認できれば根小屋の城ノ平を中心にしてさらに広い城域を有する山城よいうことになる。
雪が降る前に再挑戦してみよう。