石尊山で2度出会ったカモシカとカモシカ展望台への道筋で見たそれとは微妙に顔つきが異なるような気がしている。
もしかしたら三頭とも異なった個体かもしれない。かえすがえすも望遠レンズを携行しなかったことが悔やまれる。
そこで今回は28−300ミリズームを付けていくことに。
でも、こんな時に限って姿を現してくれないだろうと、ほとんど期待もせずに沢沿いの雪道を登りつめて
カモシカ展望台への道に左折しようとしたとき、眼の端に飛び込んできたのが灰色がかったカモシカ。
ヒゲ親爺ではなく幼獣のようだ、ビックリしたような目つきでこちらを見つめている。
距離はおよそ20m。しっかりとアイコンタクトしてからカメラを向けてシャッターを切る。カメラを向けている間は微動だにしなかったが、
カメラを外すと沢の対岸の石尊山の方面をしきりに気にしている様子が見てとれる。
そして、対岸の方向から「ヒ―ッ」と音がすると、身を翻して逃げ始めた。
先日の雪は溶け始めてところどころ枯葉が見えており、けっこう軽々と斜面を登っていく。
150mほどの距離を確保したところで立ち止り、木々の間からこちらをジッと窺っているが、
親でもいるのか時おり沢向こうに首を向けている。
親子を引き離すことになってはと、カモシカの児が健やかに育って再会できることを期待しつつ道を引き返すことにした。