山城歩きをしているとカモシカによく出会うという話を聞く。
今回もカモシカとの出会いを期待して須坂市の井上城址に登った。
登山口は目星を付けた尾根の突端にあって、県の天然記念物の枕状溶岩の露出場所だった。
痩せた尾根は思いのほか急坂だが枯葉に降り積もった新雪を踏みしめて登る。獣の足跡が山道を横切って急斜面に消えている。
小さなピークに登りつめるたびに期待は膨らむが、今回も空振りだった。
この井上城址は信濃源氏の祖とされる井上氏の詰城で、戦国時代には村上方に属して武田軍に攻め落とされている。
尾根伝いに進むと前哨拠点のような小城跡と段郭があり、幾つかの堀切を経て大城跡に至る。大城跡には帯郭が巡らされ、
本城から二の郭、三の郭と一旦下がり、その先の尾根は高度を上げて背後の大洞山に続いている。
大軍勢は収容できないもののかなりの堅城に見える。
曇りのため展望は得られなかったが方角的には信越五岳はもちろん北アルプスも見渡せそうだ。
長野市内からも近く、山頂まで30分足らず。
再び訪れてみたい山城だ。カモシカにも会ってみたい。
因みにこの地の井上氏は全国の「井上姓」のルーツに当たるのだそうな。