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安曇野ウオッチング

安曇野蕎麦畑

安曇野に移住してから12日。家にはまだ梱包も解かれていない荷物が幾つもあって、 未だに行方不明の品の探索に疲労困憊の毎日です。
そんな中でNPO法人信州ふるさとづくり応援団安曇野支部が主催する「ふるさとウオッチング」に参加してきました。
安曇野に移住したからには、応援団の一員として挨拶代わりに何はともあれ参加しなければならないイベントです。








安曇野ウオッチング

「ふるさとウオッチング」は今回で12回を数える人気イベント。安曇野の魅力を徹底的にしゃぶり尽くそうとでもいうかのように、今回もコースの中に安曇野の魅力がてんこ盛り。参加者は県内外から常連さんも含めておよそ100人余。










山口家

最初に訪れたのはウォルター・ウェストンゆかりの大庄屋山口家。 ウォルター・ウェストンは宣教師として明治初期に3回にわたって来日、各地の山に登って『日本アルプスの登山と探検』を著し、日本アルプスや当時の日本の風習を世界に紹介した登山家として知られる。
そのウェストンが常念岳登山の折に宿を求めたのが山口家で、山口家の人々との触れ合いから日本人の心優しさにしみじみと感動したという。






安楽寺跡

山口家のすぐ近くにあるのが明治維新直後の廃仏毀釈によって廃寺とされた安楽寺跡の宝篋印塔などの石造遺跡。 松本藩領の安曇野では徹底的な廃仏毀釈が行われ多くの文化遺産が失われたが、 御本尊の仏像などは密かに隣の明科の寺院などに避難させたとかで、信州人のしたたかさを思わせるとともに、 藩領でなかった明科には恩義は感じているが暗に安曇野ではないと言外に漂うものもあったりする。







おひさまロケ地

安楽寺跡から満開の蕎麦畑の向こうに眺められるのが、お約束の「おひさま」のロケ地。道祖神といい水車小屋といい、昔からそこにあったような完璧な田舎の風景だが、これがすべて巧妙なセット。戦国山城フリークの私にはその背後に聳える古城山にあった岩原城跡のほうが気になった。 木々の葉が落ち藪が枯れたら訪れてみよう。








灌漑施設

烏川渓谷沿いに残る灌漑施設。
渓谷緑地公園になっている烏川沿いには幾つかの堰取水口跡が残る。 関心のない人からすると景観を損なう打ち捨てられたコンクリート塊でしかないが、 安曇野開拓の先人の労苦を偲ばせる文化遺産だ。









清流橋

常念岳・蝶ヶ岳に源流を発する烏川には何本かの橋が架けられており、いずれも渓流の格好の撮影ポイント。
もう何年も釣りに行っていないが癖は残っていて、清流の中につい魚影を探してしまう。 そのうちに釣り仲間が押し掛けてくるだろうから、シーズン中に一度ぐらいは竿を出せそうだ。









人面岩

清流橋のやや上流左岸にあるバルコニーから見られる「人面岩」。
人によってそれと分かるには時間がかかるかも。「アへ!」が働かないと見えない。
こんな岩があると民話や言い伝えと称して物語をねつ造?して観光地化しがちだが、 ここでは未だそのような様子はない。
はて、どんな物語が相応しいのか?









須佐渡山神社

須佐山神社
九州の玄界灘付近から移動してきた海人の安曇族の名残がこの地域にもある。
この神社の祭礼でも御舟が引きまわされるが、台車ではなく人手によって担ぎだされるのが特徴とかで、 船頭石の周りを三回周ってからの帰途に坂道を転がり落として帆柱を折ってしまうのが恒例とか。
山の神を祀っているのに御舟の引きまわしというのが面白い。






ウォルター・ウェストン像

ウォルター・ウェストン像は全国に10体ほどあるというが、須佐渡の銅像は安曇野登山をした30代のものとか。 かって訪れた折は野鳥の糞にまみれていたが、今回は生い茂る木の葉に覆われて暗くひっそりとあった。 日本アルプスを世界に知らしめ、日本のアルピニズムに大きな影響を与えたウェストンを、 大庄屋山口家でのエピソードも含めて、もう少し大事に扱っても良いのではとふと思った。







国営アルプスあづみの公園

国営アルプスあづみの公園
ここはもう応援団の理事であり公園のボランティアガイドでもあるSさんの独壇場。
安曇野と北アルプスの大ジオラマの前で、安曇野で暮らす喜びと誇りがほとばしり出るような名調子での解説。 我らの応援団にも多彩な人がいるものだ。








国営アルプスあづみの公園

Sさんの名調子をよそに、参加者以外の親子連れは水槽で泳ぐ大きな岩魚やヤマメの方に興味がある様子。
かって訪れた折には水槽の向こうに常念岳が見通すことができ、その眺めは圧巻で今でも脳裏に焼き付いている。











二ツ塚古墳

二ツ塚古墳
最後の極めつけは公園内に残る二ツ塚古墳。穂高には多くの古墳群があり、副葬品として馬具類の出土が多いことで知られるとか。
被葬者は鉄器技術や水路技術をもたらし、安曇野の礎を築いた氏族、また安曇族の関係者とも考えられているという。








ぬかくど

今回の隠れメインイベントはウオーキング後の”ぬかくど”で炊いた安曇野米のおむすび。
戦後の燃料不足の安曇野地方では稲のもみ殻で米を炊くことが一般的だったとか。 安曇野米の美味さを再認識してもらうためにも、安曇野支部では機会あるごとに”ぬかくど”で米を炊き、 おむすびを振舞っているという。
ぬかどく係のKさんが暑い中つきっきりで熱さに耐えて炊き上げた”ぬかくどおむすび”は格別の味だった。 このおにぎりを目当てにウオッチングに参加する常連さんも多いとか。
スタッフとしての参加だったが、安曇野の魅力を堪能した一日だった。


2011年7月10日

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