市制110周年を記念するということで、本来は1年交代で引き出される山車が今年に限って全38台勢揃いした高崎まつり。
この日の為に1カ月以上も前から各町内のでは祭り囃子の猛練習。
初めの頃はぎこちなかった笛や太鼓の拍子もだんだん揃うようになってきて、漸くの晴れ舞台というところ。
彫刻を施した柱や刺繍の幕などで豪華に装飾した山車が38台も勢揃いするとさすがに壮観、商売の街・高崎の面目躍如というところ。
巡行が始まると町内ごとに異なる祭り囃子で出発して行く。山車や人形の華麗さを競いつつも、曳き手の老若男女の比率の違いや
統率の様子、そして勢いが町ごとに異なるのが面白い。
見る人が見たらその町内の越し方や有り様を一目瞭然で理解できることだろう。
聞きなれた祭り囃子に振り向くと今住んでいるご町内の山車が進んできた。
暑さにめげず山車を曳き、太鼓を打ち鳴らす子供たちの姿が健気だ。
見知った人はいるかと隊列を探すが、マンションの仮住まいの身にとって知り合いが居ようはずもない。
思えば地域の祭りに参加したのは遥かの昔。生まれ故郷を離れあちこちと移り住んだ身には、
祭りはいつも見学するだけのものだった。
ご町内の山車が目の前を通り過ぎる時、嬉々として山車を曳く子供たちや、
やや緊張した顔つきで太鼓や鉦を敲き続ける子供たちにエールを送った。
そろそろ故郷を何処にするかを考えなければと、ふと思った。