いつ頃からこの岬を恋人岬と呼ぶようになったのだろう。
フェンスにハート型のプレートを鎖と鍵で括り付けると愛が成就するとか。
夥しい数のプレートがフェンスに取り付けられている様子は、微笑ましくもあるが美観を害しているようにも見え、
何とも言いがたいものがある。
潮風に晒されて無残にも錆付いているものもあったりして、これらを取り付けた恋人たちは今頃どうなっているかと、
つまらぬことを考えたりしてしまう。
曇天で風が強い中にも関わらず若いカップルが次々と訪れて来る。
隣接する売店でプレートを購入して二人の名前を書いてという段取りだが、
ここにきて躊躇してコトがスムーズに運ばないカップルもいるようで、その様子も面白い。
気がつくと、古くなった鍵を埋説する場所だという石碑もあったりして、なるほどと感心させられるが、
「まるで墓石のようだ」とブラックジョークを言うのは若さへの嫉妬だろうか。