安曇野風来亭 道楽日誌 操業日誌 戦国山城散歩 キノコ図鑑 小平漁協書籍部 自己紹介

小平漁協の通勤娯楽

1999.8.1

なんだかんだと慌ただしい日々が続きます。 帰りがけに立ち寄る八重洲ブックセンターと地下街の古本屋がやっと一息つける場所です。 あたかもキノコを探し求めるように平積みされた文庫本の表紙の写真とタイトルに「キノコ眼」を這わせます。 決して新聞の書籍広告なんぞは見てはいけません。行き当たりばったりの探索で発見した時の喜びが大きいのです。


 なんと雄大なタイトルだろう。そして軒先きに吊るされた巨大魚、傍らで微笑むネパール美人。 思えばヒマラヤに魚がいるなんて想像したことも無かった(^-^;

「ヒマラヤを釣る」 根深 誠 中公文庫 819円 1999.7.18

 明治大学山岳部の登山隊の一員としてヒマラヤ登山を目指す傍ら、密かにリュックサックに渓流竿を忍ばせて、 ネパールでアブラハヤに似た10数センチの川魚アスラを釣りあげたのが始まり。以来20年余、 広範囲なヒマラヤ地方を放浪して様々な魚釣りを試みる。

  パキスタンのインダス川上流ではイギリス植民統治時代に放流されたというブラウンマスに挑む。 かの本田勝一氏が「もう驚き呆れて、釣ることに絶望した」という「北洋のサケ」 みたいな1メートルオーバーの巨大魚を求めて。しかし、釣れてくるのは30センチほどの小物!?
 「マスは、いとも簡単に次々と毛バリにかかった。かなり無造作に毛バリを振り込んでも、 むこう合わせで勝手に食らいついてくる。ここにいたって釣りは堕落し、 私は思慮分別の欠落した”低俗名人”になりさがった。」
  イギリス人が移植したブラウンマスはパキスタンやインドで広範囲に定着繁殖しているようで フライやルアーでいとも簡単に釣れてしまうようだ。

  ネパールではガンジス川上流でサハルという鯉科の魚をルアーで釣る。ゲームフィッシュとしては ヒマラヤを代表する魚で2メートルを超す大物もいて、ブラウンよりも人気がありわざわざ ヨーロッパから出かけてくる釣人も多いという。巨大魚では他に荼毘に付して川に流した 人骨を喰うという人喰いナマズのゴンーツが棲息していて500キロに達するものもいるという。 他にアスラという鮎に似た魚がいてヒマラヤの川魚としては最も味が良いとか。 日本から放流したアマゴの探釣も行ったが定着したかどうかは確認できなかったという。

  インドではカシミール地方の雄大で美しい風景の中で再びフライロッドでブラウンを釣りまくる。 「毛ばりが着水した瞬間、ブラウンマスは勢いよく出てくる。遠くに、近くに、さまざまに思いつくままに、 私は毛ばりを飛ばす。そのたびにブラウンマスは食いついてくる。ときには毛ばりをくわえたまま何度も鋭く、 水面を割って跳躍する。私は満喫した。そして興奮した。」「悔いを残したくなかった。 ひたすら釣りまくりたかったのだ。私は精一杯遊んだ。」

  そして最後に著者はブータンで記したあとがきで言う。
  「私はブータンのマス釣りを最後にフライフィッシングをやめようと思った。 理由は自分でもよくはわからないのだが、ヒマラヤではじめたフライフィッシングを ヒマラヤでやめるのもなにかの縁があってのことであろう。」

 20年近く続けたフライフィッシングをやめて、 著者はこれから何処に彷徨していくのだろう?同じ団塊の世代の釣り人として関心のあるところだ。

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