6月27日、多摩川の鮎釣りが解禁になりました。自宅から40分ほどで行ける川で鮎が釣れるのですから、
多少の雨はなんのその、あわよくば竿を出さんものと早速偵察に行ってきました。
降りしきる雨にめげずに流れに立ち込む釣り人の姿は何故か感動ものではありました。
一応道具一式携えては行ったのですが、いっこうに竿の曲がる気配はなく諦めて帰ってきました。
翌日の新聞には「3〜40尾」とありました。ホントかね?
「たなご大名」 潮見三郎 つり人ノベルズ 880円 1991.9.20 前回は鮎解禁にちなんで「四百歳の鮎」を取り上げましたが、
今回は同じく潮見三郎氏の鮎をテーマにした作品を紹介しましょう。
標題作の「たなご大名」他、「百両の鮎」「鮎物語」「幕末横道伝」「いいか、喜助」の短編五編を収録。
いづれも釣りをモチーフにした時代小説。
「百両の鮎」は江戸の安永年間、
ありきたりの遊びに飽きた成り上がりの商人の一人が、仲間との間で、
鮎がはたして釣れるかどうかの賭けをするところから物語りが始まる。
貧乏宮家の下僕が百両の懸賞金目当てに鮎の毛ばり釣り(蚊ばり釣り)を開発し完成させるどぶ釣り起源説。
「鮎物語」は同じく江戸末期、事情あって脱藩した武士が迷い込んだ山中の盗人ばかりの集落で出会った
娘に助けられながら鮎の友釣りを開発する物語。鮎捕りに長けた娘の観察眼と武士の工夫で友釣りが完成され、
盗みではなく漁労で集落の暮らしが成り立つようになり、脱藩浪士は生き甲斐と娘を得てのハッピーエンド。
標題作の「たなご大名」はたなご釣りにのめり込んだ主君に仕える武士の哀歓を描いた佳編。
「潮見三郎」1947年鹿児島県国分市生まれ。幼い頃から海釣りに親しみ
現在は千葉県大原付近をホームグランドに新しい釣り場の開拓にも意欲を燃やしている。
月刊誌「つり人」の常連執筆者。
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