荒川の鮎が解禁してからはや三週間。解禁日は釣果マイナス三尾と、全くおそまつな失態をしでかしてしまいました。
釣果0ではなくマイナスのあるところが鮎の友釣りの面白いところ。
囮と野鮎とがもつれあって流れに消えて行った光景がまぶたに浮かびます。
何度かの雨で鮎も逞しく育っていることでしょう。
渓流のような夜駆け朝打ちで老骨にむち打つ必要もなく、
深山幽谷の自然への恐怖におののくこともなく、明るく開けた河原で気ままに竿を振れるのが気に入って、
ここ数年鮎狂いしてます。
今週末あたりには再挑戦してみるつもりです。
「四百歳の鮎」 潮見三郎
つり人社 1600円 1995.7.1
千曲川で鮎釣りをしていた二人の釣り人が突然の雷鳴とともに400年前の戦国時代の
川中島合戦の現場にタイムスリップすることから物語りは始まる。
釣り人の眼前で繰り広げられる武田軍と上杉軍の死闘。やがて夥しい死体を残して両軍は河原から去っていく。
空腹に耐えかねた二人は鮎釣りを始める。経験もしたことのない入れ掛かりが続くが、
やがて武田軍に捕らえられてしまう。
川中での怪し気な振る舞いを詰問された二人は釣り人であることを証明する為に
300匹の鮎を釣らなければならない羽目になってしまう。だが400年前の千曲川、
ほんの三時間でノルマを難なくクリア。
鮎の塩焼きに喜んだ武将は二人を鮎捕獲役に任じてしまう。
翌日から鮎釣りのノルマをこなす二人。入れ掛かりが続くが釣りの楽しさは微塵もない。
やがて雷鳴が近付き再びタイムスリップして現代に戻った二人。引き舟の中にはあふれんばかりの鮎、
400年前の鮎が入っている。二人の鮎師はこの400才の鮎を残らず20世紀の千曲川に放流して、
顔を見合わせて呟く。
「それにしても今日は‥‥」「釣れない日だったな」
他に「鮎の棲む村」「越冬鮎」「鮎になれ」など、気楽に読める短編小説を所収。
しかし「鮎」をモチーフにした本というのはマニュアル本は別として意外と少ないようです。
鮎師は読書をしないと言うことなのでしょうか?
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