「海釣り」から始まった私の釣りは、クロダイ狙い一辺倒の悲壮感溢れる?こだわりの釣りから、
肩肘張らずに自然を楽しむ「渓流釣り」へと変わってきた。そんな折りに出会ったのがこの本。
私小説ともエッセイともつかぬこの一冊が私の釣りのコンセプトを大きく変えた。
いや、釣りにコンセプトそのものが無用だということを教えられたと言った方が正確だ。
心が赴くままに竿を片手に山河を彷徨う、男の憧憬とでも言うのだろうか、そんな世界がこの中にある。
今は「鮎の友釣り」へと傾斜しつつある。そして、きのこ狩りや山歩きにも触手を伸ばしている。
いずれは釣りから離れてしまうかもしれない。ただの浮気症、いや道楽者と言えばそれまでだが、
そんな気持ちの移ろいそのものを楽しめるようになった。
久しぶりに再読。漁協推薦図書ベストテンの地位は不動。
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