「仕事が釣りなら趣味も釣り」なんて超ウラヤマシー?フィッシング・キャスターとしてお馴染みの西山徹氏が
今月3日食道ガンのために亡くなられた。享年52歳。
日本のルアーフィッシング、フライフィッシングの先駆者として活躍してきた氏に合掌。
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ということで、今回は手元にある氏の著書をご紹介。
「ヤマメのつぶやき」 毎日新聞社 1400円 1997.5.30
海のフライフィッシングに先鞭をつけ、またフライによるバスフィッシングを提唱するなど、
釣り番組を通じてたえず新しいフィッシングのシーンを切り開いてきた著者が、
バスフィッシングにおけるルアーとフライの違いを次のように語る。
「ルアーによるバスフィッシングは大物を求めて広範囲を探るという、
ハンティングな色彩が強いが、フライフィッシングではマンパワーのみでバスのフィールドに浸りたい、
と言うか、自然との一体感を優先する意識が強い。ルアーは釣ることに関してひたすら現実的な人間に向いている。
フライはよく言えばロマンチスト、悪く言うなら釣るという行為が割り切れていない、
あいまいな人種に向いているかもしれない。」
バスフィッシングに限らずルアーとフライとの違いを明確に言い得ているかも。
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「アマゴに片想い」 毎日新聞社 1400円 1998.5.30
著者の少年時代からの釣り遍歴、四季折々の様々な釣りをまとめた自伝的エッセイ集。
土佐の高知で魚釣り好きの父親のもとに生まれた筆者は幼少の頃から父親の釣り
姿を見て育った。小学校入学とともに小鮒やオイカワ釣りを、3年生頃には大人達に混じって鮎の毛バリ釣り、
そしてその夏にはなんと友釣りを覚えて初釣果が4匹。
さらに鯉、ボラ、シロギス、ナマズと、仲間と学 校をサボっての釣り三昧。
そして6年生の時にはその美しさに心底感動したというアマゴ釣りを経験 する。
やがて中学、高校、大学と、その後もずっと釣り、職業まで釣りという筆者の筋金入りの釣り人生。
「食う、寝る、釣る、だけの生活がしたい」もう見事!というしかない。
「イワナが笑った」 毎日新聞社 1400円 1996.7.10
「かってボクは、釣りの魚は釣って楽しく、食べておいしいのが一番だと信じて
疑いませんでした。 ‥‥‥‥‥‥ ところがフライフィッシングにのめり込
むとフライフィッシングで釣れる野生の魚たちというのが、どうしようもなく
大切な、宝物のような気がしてくるんですよ。この釣りは、魚たちを取り巻く
自然の仕組みをよく知らないと、思うようにはうまく釣れない。そして水と魚
と、自然の仕組みを垣間見る機会が増えるにつれて、おいしい魚をたくさん取
って食べてみたいという意識が、どんどん希薄になってくるんですね。」
「キャッチ&リリース」がフライフィッシャーのいとも自然な心持ちとなることを
解りやすく語ってくれる。
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「 イワナの昼下がり」
毎日新聞社 1400円 1999.9.30
釣りを仕事とする筆者が奥さんを釣りに誘い込む話が面白い。
「自分が面白いものは、他人だって絶対に面白い」と確信し、「ましてや女房も
子供も身内なのであるからして、ボクが釣りを教えてやれば絶対にうまくなる。」
と、釣りの楽しみを家族で共有すべく、奥さんと子供を釣りへと誘う。しかし最初
のうちはともかく、次第に敬遠されていることに筆者は気がつく。原因は「一生懸
命釣らせてあげよう」とする釣り師特有の「せっかち」と「おせっかい」にあった。
でもまあ紆余曲折はあったものの、ついには奥さんを立派な釣り師に育てあげたの
ではあった。
「フライフィッシングの悦楽」
釣り人社 950円 2000. 2.10
日光湯川のブルックトラウト、寒河江のイワナ、気仙川のヤマメ、海部川のアマゴ、
北海道のアメマス、知床半島のピンクサーモン、河口湖のバス、そして西表島
浦内川のオオグチユゴイ、大分竹田のエノハなど、日本各地の魚を釣り歩き、さら
に海外ではチリのパタゴニアやドイツでのリバートラウト、クリスマス島やモルジブのボーンフィッシュ、
タスマニアのブラウントラウト等々、ひたすら無邪気に釣りまくった感あり。
釣りは奥が深いと言いながら、道を究めようという悲壮感?が全く無いのがいい。
もっとも、著者は釣りをもって口を糊する職業だったからこそ、悦楽の中で道を究
めようとしたということか。 ご冥福を祈ります。
釣り関係書籍
1979 |
「湖沼のルアー・フィッシング」 | つり人社 |
1984 | 「テツ・西山のバッシング講座」
| つり人社 |
1985 |
「ヒット・バスルアー」 | (文春文庫) |
1986 | 「海のルアー・フィッシング」
| つり人社 |
1989 |
「初めてのルアーフィッシング」 | 主婦と生活社 |
1989 | 「テツ・西山のフライ・フィッシング講座」
| つり人社 |
1993 | 「釣り魚カラー図鑑」
| 西東社 |
1994 |
「テツ・西山のフライ・フィッシングABC」
| つり人社 |
1996/7/10 |
「イワナが笑った」 | 毎日新聞社 |
1997 | 「海のルアー&フライ講座」
| つり人社 |
1997/5/30 |
「ヤマメのつぶやき」 | 毎日新聞社
|
1998/05 |
「アマゴに片想い」 | 毎日新聞社 |
1998 |
「フライフィッシング用語がわかる本」 | つり人社 |
1998/08 | 「テツ西山のルアーフィッシング」 | 新星出版社
|
1999/04 | 「フライで釣れる人、釣れない人」
| つり人社 |
1999/07 | 「バスが釣れる人、釣れない人」
| つり人社 |
1999/07 | 「シークレットルアーテクニック」
| つり人社 |
1999/08 | 「フライフィッシィング・メソッドNew100」
| つり人社 |
1999/9/30 |
「イワナの昼下がり」 | 毎日新聞社 |
2000/01 |
「フライフィッシングの悦楽」 | つり人社 |
2001/4/10 |
「面白かったよ、釣り人生」 | つり人社 |
2001/5/10 |
「ボクが夢見た川と湖」 | つり人社 |
「フライフィッシングの悦楽」
つり人社 2000/01
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