小平漁協の通勤娯楽
2000.11.19
外来魚のバス釣りに対する風当たりはけっこう強いものがあり、時として釣り人を二分する論 争にまで発展する。 論点の整理は双方の立場から行われているもののほとんど噛み合わない議論
に終始しているようだ。 私自身の考えは別の機会に譲るとして、今回はバスフィッシングをモチ ーフにした小説を訳者である 真崎義博氏のあとがきを借りて紹介しましょう。
「大魚の一撃」カール・ハイアセン 扶桑社ミステリー 680円 1990.7.25
「舞台は全米的なバス釣りのトーナメント。もっとも大きいバスを釣り上げたも のが優勝するというそのトーナメントには巨額の賞金がかかり、テレビの釣り 番組のホストや、さまざまな釣り具メーカーの広告出演という仕事、さらに四 輪駆動の車からはては釣り用のボートといった副賞もかかっている。
そのバス釣りのトーナメントに連戦連勝する男が現れる。当然、ほかのプロ たちは面白くないし、ひょっとしたらいかさまが絡んでいるのではないかとい う疑念を抱くが、その男はバス釣りの世界の権力者であり、おいそれと疑念を 口にすることもできない。だが、金銭欲には無縁だが名誉欲は人一倍強い男が ついに人を雇って調査に乗り出す。そのい調査に雇われた男がこの作品の主人 公、R・J・デッカーだ。」 その後、主人公の周辺で次々と殺人事件が起こる。 バスフィッシングがビジネスとして大きなマーケットを形成しているアメリカならではの物語。
日本でもアメリカに倣ってビジネス化が進展しているように見えるが、 バスフィッシング擁護派も反対派もそんなこととは無関係に思わず夢中になって読み進んでしまうであろう長編推理小説。