東京に転勤になってから私の釣り狂いは始まりました。
会社で釣り仲間を得て、
第3海堡を知ったことから、食欲から始まった私の釣りが大きく変化したようです。
その折々に釣れるものを楽しく釣って美味しく食べるという姿勢から、
クロダイ狙いの釣り味重視に変わっていったように思います。「こだわり」を知ってしまったんですね。
第3海堡は普通の地図には乗っていないかもしれませんね。
なにしろ関東大震災で崩壊してしまったほとんど役たたずの海堡ですから。
第1と第2海堡は島の態をなしていますから辛うじて地図に乗ってはいます。
位置的には第2海堡と走水の灯台を結ぶ線上のほぼ中間地点にあります。
第2海堡と第3海堡とで浦賀水道を狭めているため、例の釣り船と潜水艦との事故では元凶扱いされてまって、
いずれは撤去の運命のようです。
灯台を中心にしてほぼ150メートル四方の内に、海堡跡を偲ばせるコンクリート塊が岩礁となって点在しています。
それぞれ、メガネ、オオクジラ、Tの字、屏風、大土管、階段など、形状に見合った名前がついています。
季節や潮の流れによって釣れるポイントが移り変わります。それぞれのポイントの定員は2〜3名というところですから、
争奪戦もありそうなものですが、ここを訪れる釣り人は極めて紳士的です。走水港の源六から渡船が出ます。
東京湾では野島や金谷に匹敵するクロダイの名場所ではないでしょうか。
巨大貨物船や潜水艦が頻繁に行き交うなかでの釣りもなかなかイマ風で、楽しくも物哀しいものがありますが。
ここでの釣りは短いヘチ竿によるフカセ釣りが主流。スパイクブーツとライフジャケット、腰に玉網と逆さ桶、ストリンガーといったシンプルな出で立ちが釣り人の正しいスタイル。
ここ数年はとんとご無沙汰していますが、かっては年に20回、30回と釣行を重ねていましたから、海堡のポイントというポイントに様々な思いでが隠されています。でも、「釣れた!!」という記憶は数えるほどしかない。>空想の中ではクリック一発でイメージが浮かび上がってくるのですが‥‥
私の釣りはこの第3海堡のクロダイからスタートして、伊豆半島での上物狙い、そして房総、三宅島、やがて一転して渓流釣りに向かい、鮎釣りへと彷徨っていくことになります。
その節目節目に素晴しい仲間たちとの出会いがあり、新しい釣りの世界へと導いてくれたのです。