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小平漁協のフォト日誌

GW遠征<群馬県〜長野県>

 ここ数年、ゴールデンウイークには学生時代の友人Iと語らって、キャンプ&フィッシングのツアーをやることにしているが、今回は共通の友人でもあるOが永年努めた職を辞して3カ月間のインド放浪の旅に出るというので、その送別会をやろうということになり、八ケ岳にあるMの別荘に四人で集まることにした。ついでにロケハンの出張をスケジュールに組み込んで、キャンプ&別荘泊りの3泊4日の釣り三昧の旅とはあいなった。

 1日目 群馬県 吾妻川支流(温川)    
 釣友との待ち合わせまでの夕刻の一時をテンカラ竿を振って遡行する。温川はIに初めて渓流釣りを教えてもらった記念すべき場所だが、初めての釣行でいい思いをさせてもらって以来、これといった釣果がない。この日もライズは認められたものの、毛鉤に反応はなかった。山奥の沢に夕闇が迫り心細くなりかけた頃に釣友が到着、キャンプ場所には一昨年から焚火の時にお世話になっている一斗缶がまだ健在、早速盛大な焚火で暖を取りつつ酒を酌み交わす。バーボンが一本空いた。

 2日目 群馬県 吾妻川支流(温川〜小宿川〜湯尻川)
 キャンプ地脇の沢に入る。かって飲みすぎで寝呆けている間に他の釣り人に入られてしまったという間の抜けたコトも何回かあったが、今回はしっかり5時前に起床、GWの前半を早寝早起きで調整してきた甲斐があったというもの。釣れたら先攻後攻を交替するといういつものパターンで遡行を開始する。ここぞ!というポイントではアタリがなくて、こんなところでと思うような小さな落ち込みで黒く錆びたイワナが飛び出してくる。ここでは18センチを頭に15センチ未満の放流サイズを5尾。2時間ほどで見切りをつけて小宿川に転進。ここでは吾妻川との合流地点をルアーで攻める。汚濁して泡立つ流れは栄養過多なのか水藻が繁茂している。12センチほどの綺麗なヤマメを数尾、濁った流れの中から抜き上げる。 本流筋の流れこみでは着水と同時にヒット、元気に踊り出てきたのは25センチ、自己記録を更新。だが、こんなに汚いところでは記録更新の喜びは半減。
 長野県側に抜けるために湯尻川沿いの道を南下、渓相に惹かれた釣友がコーヒータイムに竿を出す。コーヒーが沸いた頃に戻ってきた釣友の魚篭には良型のイワナが3尾。地蔵峠を越えると長野県だ、町起こしの一環だろうか街道筋にはカーブ毎に十一面観音だの十三面観音だのの石仏が配されている。この日は幾つかの渓流を眺めた後、南相木村の立原高原でキャンプ。

 3日目 長野県 千曲川支流(南相木川〜西川)
 夜明けとともに上流を目指す。谷底にはすでに釣り人の姿がチラホラ。トランシーバーで連絡を取り合いながら別々の地点から入渓。プールが断続する澄んだ流れの中には確かに魚影が揺らめいているが、ルアーにもブドウムシにも一向に関心を持ってくれない。そのうちに釣友からイワナを1尾上げたとの無線が入る。「コングラチュレイション!」 でも、それっきり。大堰堤で行き止まり、堰堤下の広いプールで漸く20センチのイワナ。1時には小淵沢駅にOとMをピックアップしに行かねばならないので、早めに切り上げて川上村の西川に転戦する。峠を越えた頃に雨は本降りの勢い、千曲川本流にも濁りが入っている。 西川には釣り人の姿はなかった。ここでも私はルアーで下流を、釣友は餌釣りで上流を攻める。餌釣りさえロクにマスターしていないのについルアー釣りにはしってしまう。 釣りがメンタルの部分で雑駁になってしまうのじゃないかと怪しんで   餌釣りに切り替えて遡上を開始すると、釣友がホクホク顔で戻ってきた。小板橋川を遡行していった彼には26センチを筆頭に6尾のイワナ。濁りが入ってきてから急に喰いが良くなったという。彼が上がった地点から釣り始めるが、私にはアタリさえなくてタイムアウト。

 「退職金倍づけなら辞めてやる」と、肩叩きされたOは答えたそうだ。学生時代から飄々として物事に拘らない彼は、こうして二つ返事で職を辞した。そして彼にとっては3度目のインド放浪の旅に出るのだという。「体力も低下しているから生きて帰れるかどうか」と、照れた。ずっと独身を貫き通してきた彼だからこその決断だろうけど、リストラの対象になりかねない我々団塊の世代には身に詰まされる話だ。八ケ岳山麓に建てられたMの別荘での酒宴は高歌放吟をまじえ、夜遅くまで続いた。寮歌「四季の新潟」の一節が四人かかってもどうしても思い出せなかった。
 卒業してはや二十数年。 

 4日目 長野県 姫川支流(平川)
 翌朝、富士山を眺める高台で写真に納まった後、三人と別れて白馬村に向う。S氏と待ち合わせ、現地の担当者と簡単な打ち合せの後、村内を走り回って形通りのロケハン。途中、暫らく使用された形跡のない林道に入り込んでしまい、Uターン時に苔むした古株に車体を擦りつけてしまい、ガックリ。無事でなく仕事を終えた後、生憎の雨のなか気分も晴れないまま平川に入る。堰堤毎の落ち込みにルアーを投げ入れるが、圧倒的な水量に押し流されるルアーはなんとも心もとなく、いまさら餌釣りに切り替えるのも億劫で、スグに納竿。下流で餌釣りをしていたS氏もすぐに上がってきた。周辺の写真撮影をしていくという彼と別れた後、高瀬川沿いにある駒止めの湯に浸り、SAで2時間ほど仮眠してGW渋滞に悩まされることなく帰途に着いた。

 3泊4日、全走行距離912キロ。

1994年5月3日 群馬県 吾妻川支流 温川    釣果なし(テンカラ)
    4日 群馬県 吾妻川支流 温川〜小宿川〜湯尻川 イワナ18センチ(餌釣り)                            ヤマメ25センチ(ルアー)
    5日 長野県 千曲川支流 南相木川〜西川    イワナ20センチ(ルアー)
    6日 長野県 姫川支流 平川          釣果なし(ルアー)

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