例年にない大雪で周囲の里山もまだまだ残雪が深そう。雪に閉じ込められてもう3ヶ月近くというもの山を歩いていない。
晴天の日に眺める北アルプスの白銀の輝きが恨めしい。山歩きから遠ざかって体重が4キロも増えたので
脚力の衰えが心配になって、雪の少ない東信の山を地図で物色し、上田の太郎山に登ることにした。
表参道の登山口から登りはじめる。降りてくる登山客と挨拶を交わしながら80分ほども歩くと太郎山神社。
こんな山の上に意外と大きな社殿が建てられているのに驚く。上田の女侠客が先導して社の梁や柱を運び上げたとかで、
巨大な鳥居と石碑などとともに上田市民の心意気を感じさせる。
神社からの塩田平の眺望は格別。盆地を横切る千曲川、蓼科山、美ヶ原方面を一望。もっと早い時間帯なら125キロ離れた富士山も遠望できたかもしれない。
神社の裏手から続く凍結した尾根道を約10分ほどで山頂。既に時計は午後1時半。
ベビー服姿の石仏の他には誰もいない静かな山頂で北アルプスの山々を眺めながら贅沢な時間を過ごした。
白馬連山から唐松・五竜・鹿島槍・蓮華、そして槍ヶ岳、穂高連峰の峰々が屏風のように連なる。できることなら夕焼けも眺めていたい。
だが、岐路の凍結が心配になって重い腰を上げたのは3時。
こんな時間に登って来る人はいないだろうと思いきや、登山靴も履かずリュックも背負わない軽装の人たちがこんな時間に次々と登ってくるではないか。
ほとんどが60代の熟年層、ドリンクも持たずに気軽な散歩のように登ってくる。
飯縄山が長野市民の山なら、太郎山は上田市民の山だとかで、年間に400回も登っている人もいるそうな。
山頂まで行くのか、それとも太郎山神社に参詣して折り返してくるのか、先ほど出会った人がもう追い越して降りていく。
カミさんが、長靴履いてヒョイヒョイと登ってくる人に「今日は2回目ですか?」などと声を掛ける。
先だって降りてきた人に似ていたのだそうな。
雪の少ない東信の山々、冬でも気軽に登れそうな山がまだまだありそうだ。