銀座界隈を歩きながら見上げる空がこのところ苛立たしいくらいに澄みわたっており、ビルの谷間の幾何学的な青空なんかでなく、自分の足でたどったスカイラインを今一度眺めたいとの思いが臨界点に達してのお手軽登山。目指すは三ツ峠山。
登山口から三つ峠山荘までは陽陰の見通しの利かない林道を淡々と登る。小型の四駆ならいとも簡単に登り詰めることができそうな山道、実際、チェーンを巻いた山荘の四駆が登山客を追い越して登って行く。ちょっぴり興醒め。
このコースは山頂付近まで登り詰めなければ富士山が眺められない。雲が出て山が隠れないかと心せき立てられるような山歩きだ。およそ60分の登りであっけなく山頂。このお手軽さが良いのだが、林立するレーダーやらアンテナやら団体さんやらでどことなく世紀末の山頂風景。
だが時計は午後一時のこととて既に陽は高く富士山はぼんやりと紗がかかっている。だが御坂黒岳越しに南アルプスの山々はくっきりと山並みを見せ、八ヶ岳から奥秩父、奥多摩の山々までが見渡せる。山岳展望ハンドブック片手に暫し山座同定に勤しむ。
帰りは三脚を担いで続々と登ってくる写真ファンと挨拶を交わしながら下る。山荘に泊まって夕方と朝焼けの山岳写真を撮るのだろう。これで二度目の三ツ峠山だが二度とも逆光気味の真昼の山頂、次回は朝焼けの富士を眺めて写真に収めてみたいものだ。