前日に大弛峠まで車で上ってキャンプ。夜半の雨も夜明けには上がって峠の駐車場は登山客の車で次第に埋まってきた。さすが奥秩父の盟主、
日本百名山の金峰山、人気のある山だ。それでも空模様に逡巡してか大半の人が車中待機で様子見。
霧に霞む林の中をまずは朝日岳山頂を目指す。下界からは三角形の頂が美しい2579m。
金峰山の五丈石の奇観がなければよそ目にはこちらの方が盟主に見えるかもしれない。
山頂からは一瞬だけ富士の裾が見えただけで、残念ながら眺望は得られなかった。
朝日岳からはいったん下って鉄山を回り込んでから再び上り返す道。シラビソの林の登山道の両脇にはところどころにキノコが顔を見せている。
薄紫色したオオウスムラサキフウセンタケやツバフウセンタケ、ショウゲンジタケ、キンチャヤマイグチ、等々。
寒風のためかそれとも酸性雨か立ち枯れた木々が痛々しい。
森林限界を抜けるとケルンが積まれた尾根上に出る。
風に流されゆく霧に姿を現したり隠したりするみずがき山の鋭い岩峰に感嘆の声があがる。岩場の巨石伝いに山頂へ、
巨石のアーチをくぐるとそこが山頂(2599m)だった。シンボルの五丈石は霧の中に城塞のように黒く霞んで鎮座していた。
登山中は雲と霞に包まれて殆ど全貌を顕わしてくれなかった金峰山の山並み。帰途の車中からふと振り返って見れば、
いつの間にか晴れ渡り、青空の光の中に美しい稜線を描いていた。