木漏れ日を拾いながら里山を歩くのが冬の楽しみ。
降り積もった落ち葉を踏みながら雪化粧した常念岳や陽光に輝く犀川の流れが、冬枯れの木立を透かして見える。
そして何よりも斜面の林に降り注ぐ陽光の温かさが嬉しい。
昨年、近所の女の子に山の中の秘密基地に連れて行ってもらった。
そこは一歩誤れば転げ落ちてしまう急斜面だったが、彼女は軽々と登り降りして見せるのだった。
秘密基地は急斜面のテラス状の場所にあって、周囲を7〜8本の株立ちの木が柵のように囲んでいる。
下のほうに彼女の家の屋根が見えた。
はて、その場所は何処だったかなどと、ときどき足を止めながら探していると、
なにやら見られているような視線を感じたので、上のほうに目をやると黒い塊がある。
アニメ「千と千尋の神隠し」に出てくるカオナシのようにも見える。
それがカモシカだと気づいてようやくカメラを構えてズームアップ、シャッターを切った。
以前にもカモシカに遭遇したことがあるがピンボケで失敗してしまったので今回は慎重に。
しかし遠い。逃げる気配がないので5mほど近付いて連写。まだ動かない。
気をよくしてさらに近づこうとしたら逃げられてしまった。
長峰山の支脈にある石尊山には鹿も出没するようで、秘密基地の彼女は拾った鹿の角を宝物だといって見せてくれた。
「今度拾ったらあげるね」と言われて楽しみにしている。カモシカのように野山を駆け巡る彼女が健やかなることを思った。
1月27日