国道254号線の松本トンネルを抜けて右側に見える山が、いかにもという感じで山城の雰囲気を醸し出しているのが気になっていた。
それを確認しようと車を向けるとすぐに「山城入口」というバス停の看板。山の尾根筋には堀切と思しき切りこみで画された削平地が見える。
これはもう山城以外のなにものでもない。手持ちの書籍には紹介されていない山城だ。
発見した喜びは大きい。
その城が「早落城」。「はやおち」でなく「はやおとし」と読むのだそうだが、城の名としては全く不適当。
さらに本郭の標高が777mで大当たりのラッキーセブン。これはもはやブラックジョークかと。
女鳥羽川を挟んで相対する伊深城とともに善光寺街道を扼する要衝の地にあって、小規模ながら連郭式の山城の遺構が良く保存されている。
本郭からは松本平や北アルプスを展望できる。
中世、稲倉城の支城、赤沢氏の持ち城で洞城と言ったが、
小笠原氏が奪って岡田郷の伊深城主・後庁氏に与えた。
天文十九年(1550)武田氏が林城を攻略した際に
赤沢氏はいち早く攻め落としたので早落城と呼ばれるようになった。
赤沢氏は家臣の林氏にここを守らせたが、天正10年(1582)に廃城となる。
尾根に3つのくるわと4条の空堀が残る。
平成9年11月 本郷地区景観整備委員会