パソコンを更新し、さらにCATVからのインターネットに切り替えたところ、
あれこれと不具合が発生して調整に手間取っております。
しばらくは新旧のパソコンと電話回線とCATVを併用することにしました。
コスト削減効果が期待できない状態が続きそうです。一本化の作業は正月休みの楽しみとして残しておきましょう。
いずれホームページの引っ越しやメールアドレスの変更通知もしなければなりません。
そんな訳でメールマガジンの発行が暫く停滞していて申し訳ありません。
通りすがりの古書店で「全く新しい釣り文学」との帯封のコピーに惹かれて手にした一冊。
「ひかれて」を「惹かれて」と変換して今更ながら「コピー」とは「惹句」のことだと気づきました(^−^;
「 黄 金 の 海 峡 」 鵜飼英彰新風舎 1998年 4月18日
渓流釣りの場合は前夜のうちに渓の奥深くまで入り込んで野営するのが私のスタイル。
しかし釣友とともにあるのならともかく単独釣行は恐怖がいっぱい。かの柳田国男の「遠野物語」
「山の生活」の世界が周囲の闇に展開する。渓の沢音もなにやら人の声や物の怪のざわめきに聞こえてきたりすることもある。
獣のように感覚が研ぎ澄まされ、言いようもない不可思議な感覚や想念に捕らわれることもある。
海釣りの場合は渓流とは全く異なる感覚で、「手の触れる位置に海がある」
ボート釣りではさらに観念的な世界が広がるようだ。
仕事上で知り合った釣友から教えられてゴムボート
での海釣りにのめり込んでいった主人公の精神世界を描いた小説。現実の日常での様々な出来事や明石海峡でのボート釣り、
阪神大震災後の混乱によって死亡した釣友との心の交流、海での夢うつつの神秘的体験などが淡々と綴られている。
海の囁き、潮のざわめきが般若心経の読経のように物語の底を流れ、主人公の精神世界に共振している。
gate gate paragate parasamgate bodhi svaha
gate gate paragate parasamgate bodhi svaha
この海峡にあり、自分が今ここにあることの不思議を感じる。
青、黄、白、緑、赤。
ひときわ強い光輝は青色。
風に弄ばれ、海面は五色の虹を反射する。
寄せ、返すうねりに、ゴムボートは上下に揺れる。
ありとあらゆるものが持つ固有の振動数で、私は、
この海峡に共振する。
共振しながら、振幅を強め、溜め、高めたエネルギーで、
ありとあらゆるものと同化する。
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時間と空間。
存在と非存在。
現実と夢幻。
二つの世界を往還するこの黄金の海峡に、その鍵がある。
明石海峡の海の上で感得した「精神的風景」を描いているのだが、釣りそのものはただ
「行為」としてのみ描かれているだけで、その精神世界の中に全く位置づけられていないのが残念。
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