「”釣り文学”に新境地を開く異色作」との伊藤桂一氏の献辞にひかれて手にした小説。
会社勤めと釣りの趣味。日頃のフラストレーションを釣りで発散といういつものパターンかと思いきや、
大企業の子会社に勤める釣り好きなサラリーマンの日常生活を淡々と描写。
社長以下部長からヒラまで鮎釣りファンというノー天気な会社。
なんのことはないゴルフクラブを鮎竿に持ち替えただけじゃないの!民間だったらとっくに倒産!とやっかみ半分。
バブル期の作品とはいえ、異質なサラリーマン意識というか企業文化に触れた思いがする。
社長が釣りに目覚め、主人公が仕事に目覚めるラストの描写は苦笑を禁じえない。
作品のレベル云々ということでなく、わが身の置かれている環境とのあまりの落差からのことかもしれないが。
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