安曇野風来亭 道楽日誌 操業日誌 戦国山城散歩 キノコ図鑑 小平漁協書籍部 自己紹介

小平漁協の通勤娯楽

1999.9.5

今年もとうとう釣りらしい釣りも出来ずに9月を迎えてしまいました。
週末はなんやかやと調整がつかず、休みが取れても大雨で増水に見舞われることが多く鮎は殆ど釣りになりませんでした。 ホームグランドの荒川は投網が解禁になったのでもう絶望的です。 今年こそは鮎釣りに自分なりの目処をつけて、真面目にフライに取り組もうと思っていましたが来季までお預けになりそうです。


「伝説のバックパッカー」であり、かつ 日本のフライフィッシングの草分け的な存在だった芦澤一洋氏が 綴ったエッセイ集。「故郷の川を探す旅」に続く小学館文庫の第2弾。

「私の出会った心の川」芦澤一洋 小学館 457円 1999年9月1日

 ここは余計なコメントは控えてフライフィッシャーマンスピリッツに満ちた珠玉の言葉をいくつか紹介するにとどめましょう。

 「イワナと釣り人が同等の立場で、いや、釣り人のほうにハンディをつけてこそ、 本当の遊びが成り立つというものだろう。擬似鈎であるルアーや、高度なルールを守らねばならない ドライフライで魚をしとめてこそ、真の釣りの楽しみを満喫できるというものである。」

「釣りが理屈の世界ではないことと十分少血しながら、なおかつ私は『サイエンティフィック・アングラー』 『インテリジェント・アングラー』への道をひろく推奨したいと思う。」

「運悪く、私のフライをくわえる魚がいた場合には、その魚に名をつけることができるくらい深く その姿体とファイトの様を凝視し、永久に脳裏から消えることのないように、記憶の宝箱にしまいこみたいと思っている。」

「せっかく釣り上げた魚を、そのまま放してしまうことは心残りなものだ。宝石以上に美しい野生の主であれば、 なおさらだ。しかし、その美しさも生命あればこそのもの、といえないだろうか。」

フライをやる釣り人の間では殆ど金科玉条となっっているこれらのスピリッツの啓蒙に果たした著者の役割は大きい。

 芦澤一洋(あしざわかずひろ)
 1938年山梨県鰍沢町生まれ。早稲田大学卒業後、 フリーのグラフィックデザイナーに。必要最小限の生活用具をパッキングして山野を旅するバックパッキングの スピリッツとマインドを日本に紹介するとともに日本のフライフィッシングの黎明期に活躍したアウトドアマン。1996年逝去。

 「フライフィッシング紀行」   つり人ノベルズ 950円 1998.4.1
 「続・フライフィッシング紀行」  つり人ノベルズ 950円 1998.8.10
「故郷の川を探す旅」      小学館文庫   480円 1999.8.1

    同じ日に発刊されたもう一冊のフライフィッシング本
 
「英国のフライフィッシング史」  椎名重明 つり人ノベルズ 950円


 帯には「15世紀の末から20世紀初頭までのフライフィッシングの 変遷を、英国の古典の中から紹介した技術研究史」とある。インテリジェントアングラーを目指すあなたにお薦め。