西穂高岳に登ってきました。ロープウエイに乗って標高2156メートルの西穂登山口まで一気に上がり、
西穂山荘に一泊、独標を経て西穂山頂までを往復するお手軽登山。山頂からは笠が岳、奥穂高岳や槍ヶ岳、
そして遥か彼方に曾遊の地、雲の平方面の山々が展望できました。西穂山頂からの景観は私のHP写真館をご覧ください。
山歩きでは尾根筋のスカイラインに眼を奪われ、釣り人としては山塊に深く切り込んだ遥か下方の溪に心が動きます。
登山客で賑わう尾根筋の遥か下方の暗く静かな溪をひっそりと遡行する釣り人。源流の釣り、
これもまた私の見果てぬ夢、憧れの世界だ。
釣り具と雨具、コッヘル、ヘッドランプ、
そして食料は米、味噌、醤油、塩、ラーメン、酒と、必要最少限の装備をリュックに詰め込んで源流をめざす。
「命と釣りに関係ない」ものは全て省いて原始そのままに自然に溶け込むシンプルライフ。
近代的装備とは無縁の究極のアウトドアライフ。
尺イワナを求めて薮を漕ぎ、
滝を高巻き、腰まで水につかってトロ場を遡行。時には溪を登り詰めて尾根越えで反対側の源流部に下降する。 イワナは塩焼き、塩辛、イワナ汁、骨酒に、そして山菜やキノコ等、現場で調達した自然の恵みに舌鼓を打つ。
焚火を囲んでの釣り仲間との語らいや地元の人々との触れあい。源流釣りの醍醐味が充満した一冊。
「源流の呼ぶ声」 西野喜与衛 白山書房
1800円 1994.5.25
源流域での釣り、伝承、民俗、民話、なんでもありの荒削りなエッセイだが、
ときどき湧き出るような率直な言葉が心に響く。
「限りなく何も持たない山旅というのはいいものだ。
だいいち身が軽くて爽快、しかも何もないぶん、自然との境界線が取り払われる。谷の中を泳いだり、
じゃぶじゃぶ歩き、岩をへつり、流木で火をおこし、自然からの恵みであるイワナやフキを食べ、
大地や岩の上でそのまま微風を受けて眠る。こうした生活をはじめると、体内にヘドロのように溜まっていた都会の毒素が
、二日目になると早くも、潮のように引いてゆくのを感じた。」
もう少し早く渓流釣りに出会いたかった!私にはこんなハードな釣行はもはやできはしない。
しかしいま現在可能な釣りを精一杯楽しみたいものだ。
ついでに、もう一冊ご紹介しましょう。
著者名とタイトルで選んだ本。
「遭 難 渓 流」
太田蘭三 講談社文庫 571円 1999.7.15
釣り人に悪人なし!なんてノー天気なことを言うつもりはないけど、
事件は渓流で始まり、自称人気推理作家の主人公釣部渓三郎の自画自賛の謎解きで解決する、
いつもながらの必殺ワンパターン。釣りや山岳経験がリアルさを失ってイメージだけになり、
都市生活者の通俗的な匂いばかりが鼻につくようになった。そろそろ新機軸の作品を期待したいところ。
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