ここ数日降り続いた雨で関東近辺の河川はどこも増水しているだろうと、
この週末は鮎釣りを諦めました。鮎釣りにとって大雨は大敵、
増水によって鮎が好む苔が流されてしまっては暫くは釣りになりません。
イワナやヤマメの渓流釣りだったら多少の雨など気にしないのですが、
渓流釣りは夜討ち朝駆けの十分な?覚悟が必要ですし、源流域への単独釣行はキツイものがあります。
渓流釣りで恐いものと言えば「鉄砲水」と「クマ」。幸いなことに未だ遭遇したことはありません。
山歩きの最中に遠くの樹上にいたクマが慌てて逃げて行くのを目撃したことはあります。
「クマ」に限らず、山のなかで動物と遭遇するのはけっこう恐いものです。
渓流を遡行しながらシカやカモシカには何回か遭遇したことがありますが、けっこうドッキリしてしまいます。
ましてや正体不明の獣の臭いが風にのって流れてきたりすると釣りどころでなくなることもあります。
そこで今回は、クマに出会わないために、釣り本ではありませんがこの本をご紹介しましょう。
「山でクマに会う方法」 米田一彦
山と渓谷社 1275円 1996.10.10 タイトルは「クマに会う方法」だが裏返せば「クマに会わない方法」ということになる。
「方法」とはいうが決してマニュアル本でなく、
クマの生態を30年間にわたり愛情あふれる眼で観察した「クマ追い」の記録だ。
タイトルは「クマに会う方法」だが裏返せば「クマに会わない方法」ということになる。
「方法」とはいうが決してマニュアル本でなく、クマの生態を30年間にわたり愛情あふれる眼で観察した
「クマ追い」の記録だ。
冬篭りの穴からでてくるのは4月下旬。落ちているドングリなどを食べる。
5月はブナの木に登り若葉を食べるので、森の中では頭上に注意。
5月下旬から6月にかけては、沢に生える水芭蕉やザゼンソウ、エゾニュウ、
アザミ類などの多肉多汁の植物を好んで食べる。
6月は山菜やタケノコ(ネマガリタヶ)を貪り食べる。
ササやぶが危険。
6月中旬から7月中旬が発情期で子別れの季節、コグマの自立期でキイチゴの陰にはコグマがいる。
明るい林道が要注意。
7〜8月、クマはイラクサ、ウワバミソウ(ミズ)、エゾニュウの繁茂する沢に集まる。
とくにエゾニュウは大好物。
8月下旬、夏の終わりは沢筋のオニグルミの木に注意、熟していない実をまるごと食べる。
黎明薄暮の時間帯は沢沿いの林道で会う確立が高い。
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夏の終わりから秋にかけて「クマ棚」を作る。
ブナなど広葉樹の森では頭上に注意。
こうして見ると、渓流釣りや山菜苅り、
きのこ苅りはクマのテリトリーを侵しながらの危険な遊びだということが今さらながら良くわかる。
山菜やきのこだったら呼子や大声で合図すればよいが、沢筋ではそうはいかない。
とくに7〜8月の沢はクマの社交場みたいなもの。沢は見通しも悪く、水音もうるさいのでお互いの発見が遅れ、
危険を感じたクマが襲い掛かってくる可能性が大だとか。大好物のエゾニュウが密生する沢が特に危険だという。
セリ科のこの植物、図鑑などでしっかりチェックしておこう。沢に草が倒れた跡があったら、クマがいる証拠だとか。
夏の沢、とくに黎明薄暮の時間帯は避けたほうが賢明だというが、この時間帯こそまさに釣りのゴールデンタイム。
万が一出会ってしまった時のためにと、筆者はイメージトレーニングを薦めている。
1、あわてない!遠くにいるだけなら心配ない。こちらに気が付いていないなら、
声をかけたり手を振ったりしてこちらの存在を知らせる。
2、さわがない!クマが至近距離にいて、こちらに気が付いている場合も、
大声で叫んだり物を投げたりしない。クマを刺激して興奮させてはならない。
3、走って逃げない!もしクマが突進と後退を繰り返すようなら、それは威嚇しているだけ。
静かに後ずさりして離れよう。背中を見せて走って逃げるのは厳禁。
4、抵抗しない!抵抗するとクマはさらに逆上する。
すばやく地面にうつ伏せになり、両手で首の後ろをガードして立ち去るまでジッと我慢。
マニュアル本ではないといいながら、釣り人として、山荒しの片割れとして、
ついついマニュアルとして読んでしまったことを反省(^-^;
著者は最後に記す。
「そこから先はクマの世界だ。いまからでもよい、引き返す勇気をもとう」
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