安曇野風来亭 道楽日誌 操業日誌 戦国山城散歩 キノコ図鑑 小平漁協書籍部 自己紹介

小平漁協の通勤娯楽

1999.5.19

多摩湖畔や玉川上水の木々の緑が鮮やかさを増しています。 緑道の中を散策しながらも眼線だけは油断なく枯れ木の根元や梢を走らせます。 この時期にはキクラゲが発生しているからです。車を走らせているときでさえキノコが眼に飛び込んできます。 薄暗い葉影にキノコだけが光って見えてくるのです。
 古書店で釣り本を発見するのも同じ感覚です。 その本だけが光って見えるのです。
 なにげなく途中下車して立ち寄ってみた三鷹の古本屋。 そこで発見したのがこの本。


「大江戸必殺剣 浪人釣り師」太田蘭三 廣済堂出版 1982.1.15

   浪人釣り師船田鯉四郎が行く先々で遭遇する事件と釣りとをからめて物語が展開する。 「大鯉と仇討ち」「ヤマメのような娘」「イワナと女と死と」など短篇七話。 しばらく読み進めるうちに「おっとこれは読んだことがあるぞ」と、ようやく気がついた。 祥伝社ノンポシェットの文庫本「鯉四郎事件帖」と全く同じ内容だった。
  文庫本の元になる本に遭遇するのもブックハンティング、いやBook Fishingの楽しみではあります。
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 同時に入手したのがこの本。

「イワナが笑った」西山 徹 毎日新聞社1400円 1996.7.10


「仕事が釣りなら趣味も釣り」なんて超ウラヤマシー?フィッシング・キャスターという職業が成立するのもテレビのお陰か、 はたまた釣りブームの所産か?テレビそのままの人柄を感じさせる平易な語り口の文章に好感。
 「フライフィッシングには不思議な効果があります。釣ろうとしている、あるいは釣れた魚を見る目が、 知らず知らずのうちに変わっていくんです。かってボクは、釣りの魚は釣って楽しく、 食べておいしいのが一番だと信じて疑いませんでした。 ‥‥‥‥‥‥  ところがフライフィッシングにのめり込むとフライフィッシングで釣れる野生の魚たちというのが、 どうしようもなく大切な、宝物のような気がしてくるんですよ。この釣りは、魚たちを取り巻く自然の仕組みをよく知らないと、 思うようにはうまく釣れない。そして水と魚と、自然の仕組みを垣間見る機会が増えるにつれて、 おいしい魚をたくさん取って食べてみたいという意識が、どんどん希薄になってくるんですね。」
  「キャッチ&リリース」がフライフィッシャーのいとも自然な心持ちとなることを解りやすく語ってくれる。

 その一方で、農水省のデータから釣り人一人当りの放流数をチェックして、釣れない理由を明らかにする。 放流数の多い鮎で一人当たり約39匹、ヤマメとイワナでは約24匹。 入漁券を買った人が年間にこれ以上の魚を釣って持ち帰ると必然的に魚が減少することになる。 まして自然繁殖力を失った河川では放流魚のみを釣るという状況となると説明する。 昨今の釣りブームがもたらす様々な問題や弊害を提起する。日本全国釣り堀化!?

 このところフライフィッシングへの誘惑が強まり、その精神も面白さも心持ちも頭で理解しながら、 食欲の?餌釣りからなかなか抜け出せないでいる私としては耳の痛いところ。

  ん?ちょっと待て、鮎もマス類も年間にそんな数釣ってないよ!私は(^-^)。わはは、そんな問題じゃあないか。

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