安曇野風来亭 道楽日誌 操業日誌 戦国山城散歩 キノコ図鑑 小平漁協書籍部 自己紹介

小平漁協の通勤娯楽

1999.2.22

なにげなく立ち寄った東京駅構内の書籍コーナー。 今まで古本屋に行く度に気に掛けて探し求めていた本が新刊の文庫本になって平積みされているのを発見。 それはまるで流れの中にかって釣り落とした尺岩魚の魚影を発見したかのような喜びだった。 山岳推理作家・太田蘭三のデビュー作だ。

釣竿

「殺意の三面峡谷」 渓流釣り殺人事件 太田 蘭三 祥伝社文庫 1999.2.20 743円

レジャーライター「釣部渓三郎」シリーズの第一作目の山岳推理小説。文庫本になって再登場。 登山者と釣り人に悪人はいないと言われているが(^-^) 殺人やら死体発見やら事件が神聖な?釣り場や山岳から展開するパターンとちょいと通俗的な香りもすでに漂っていて、 その後の作品よりも緻密に濃厚に書き込まれているのが興味深い。
多摩川、朝日連峰、南アルプス、奥只見、奥多摩と、次々と舞台を変えて展開する山岳釣行推理小説。 峻剣な三面峡谷源流域への岩魚を求めての釣行中に転落死を遂げた悪名高き実業家。 その死に不審を抱いた主人公が自ら山に渓に足を運んで謎解きに挑む。その後のシリーズを知っているから、 ストーリーの構成上重要な被疑者が既に犯人ではないと判っているから、推理小説としての 面白みは半減。 おっと、これ以上のヒントは無用にしておきましょう。
主人公が適当に好色なおっさんで、 カッコ良くもなんともないのに何故か新宿のバーのママにも女子大生にもモテモテ。 著者の願望がモロ主人公に託されているようで愉快。
「釣部渓三郎」シリーズのすべての要素がこの第1作に既に出揃っていて、 肩の凝らない山岳釣行サスペンスとして完成されている。
   
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釣竿

  面白い本を入手した。妻がパートで勤めている保育園の保母さんの父親が執筆した本。

「大自然に遊ぶ」 江部達夫 考古堂書店 2000円  1997.6.11
 
 メインストリームは山菜やきのこ、魚など自然の味覚をテーマにした28話からなる「四季の味わい」だが、一話だけ独立した「大岩魚」が縦糸のように 「四季の味わい」に微妙な色彩と陰影を織り込んでいる。「大岩魚」は著者が学生時代の作品、「四季の味わい」 はそれから30数年以上も経てからのエッセイ。ライオンを食べた話は圧巻?三つ子の魂‥ではないが、 医師としての多忙な日常のなかにあって遊び心は益々旺盛のようだ。家族の手になる挿絵もいい。 で、件の大岩魚のサイズは2尺4寸3分というから約73センチ!
  学部は異なるが大学の大先輩ということでもお薦めの一冊(^-^)

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