渓流シーズンもそろそろ終盤。良い思いをした人もそうでなかった人も、最後の渓を何
処にしようかと想い迷う今日この頃でしょうね。かく言う私、ロッドをステッキに持ち替
えて山登りにハマッテしまったシーズンでしたが、最後に何処かで渓魚の顔を見ておきた
いものと、山の地図と首っぴきの日々ではあります(^-^;
恥ずかしながら今シーズンに初めてフライで岩魚を釣りました。あまりにも小さな岩魚
だったのでロッドは曲がりもしませんでした。
「山女魚風よ吹け!」 秋丸修一
葦書房 2000円 1987.6.15
著者が初めて山女魚を釣り上げた時もロッドは曲がらなかった。このことが著者をして
ロッド狂いに走らせたのだという。
まだ国産に良いものが無く、ちゃんとした物は輸入物に限られていた頃のことだ。いろ
いろと買い漁り試してみたが、「魚を掛けたあとの引き味」がどれもがいまひとつ物足り
なくて、長さを詰めたり、グリップを削ったり、ガイド位置を変えたり、あれこれと改良
を試みたが納得がいかず、とうとう自分の満足のいくロッドを自分で作り始める。ロッド
ビルダー秋丸修一の誕生だ。
試行錯誤の末に、日本の山女魚釣りの為に創り上げたロッド、それが「ブリーズ」だ。
「意味は”風”デアル。軽くしなやかに渓を吹き抜ける、快い山女魚風である。」
「引き味を楽しむ竿、やわらかい竿は魚とのやりとりが長引くぶん、それだけ魚の
ダメージが大きい。・・・・・・・そのダメージを少なくすることを釣り人としての私が、
ロッドビルダーである私に要求したのである。」
自分で作ったお気に入りのロッドを片手に、好きな仲間と、
日向へ、北海道へ、アメリカへ、山女魚や鱒を求めて釣り歩く渓流釣り紀行。
豊富なモノクロ写真も楽しい。
著者のバンブーロッドが日本人とし初めてアメリカ・モンタナ州の国際フライフィッシ
ング博物館に展示されることになった。同博物館は、フライフィッシング用のロッドやラ
ンディングネット、フライなどを世界中から収集し、展示している。<西日本新聞>
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