安曇野風来亭 道楽日誌 操業日誌 戦国山城散歩 キノコ図鑑 小平漁協書籍部 自己紹介

小平漁協の通勤娯楽

2001.7.1

「通勤娯楽」も駄文に駄文を重ねて漸く100号に達しました。釣り本は定期的に発 刊されているわけではありませんから、紹介する本に窮することもしばしばです。以前 に読んだ本をひっくり返してみたり、古本屋の梯子をしたりと、苦しんだり楽しんだり しながら続けています。
あなたの「釣り人生」により深い喜びを与えてくれる一冊を探してみてください。


今回は餌釣りとテンカラの違いについて興味深い解説をしている本を紹介しましょう。

「テンカラ解体新書」  石垣尚男 釣りサンデー  1400円 1997.9.5

エサ釣りでは目印の変化で合わせ、掛けてはじめて魚が見える。一方、テンカラでは 掛ける前に魚を一瞬だがチラッと目にすることができる。餌釣りとテンカラの面白さの 違いはここにあるという。
  「自分の釣ろうとしている魚が掛ける前に一瞬でも見えるか、エサ釣りのように 掛けてからわかるかは釣りの面白さを決める最大の要因である。それは魚の一 瞬のパシャッという「出」が釣り人への「視覚ストレス」になっていて、それ が快感反応をもたらしているからである。 釣り人は魚を釣りたい一心である。ところがテンカラでは自分が釣りたいと思 っている魚が突然、パシャンと水面を割って出てくるわけである。内心、出る ことを期待し、「そろそろ出るぞ」と予期していても、突然出ると「出たあ」 とドッキリする。」 このあたりお化け屋敷と共通した心理であり、 「視覚ストレス」が交感神経を興奮させて 「ハイ」な状態を持続させる、それがテンカラの面白さなのだという。
さらに、テンカラと餌釣りの心持ちの違いは、釣欲を満たすものの違いだとする。 「もし、釣欲というものがあるならばテンカラでは魚を前もって見るということ が釣欲の7、8割を満たしていて、残りの2、3割が魚を手にした満足感で満 たされるのではないかと思う。それゆえ掛からなくても、魚を見ただけで結構 満足できるのがテンカラである。」
「エサ釣りにのめり込むと、やがてビクが肩に食い込むほど釣らなければ満足で きないときがくる。どのように釣ったかに満足するのではなく、どれほど釣れ たかに満足のほとんどがあるエサ釣りのこれは宿命でもある。」
テンカラは「少なく釣ってたくさん楽しむ」釣りだと結論づけている。 けだし名言。餌釣りとテンカラの違いについてなんとなく理解できたような気がしますが、 それでは同じ毛鈎釣りであるフライとテンカラとではどうなのでしょうか?

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