安曇野風来亭 道楽日誌 操業日誌 戦国山城散歩 キノコ図鑑 小平漁協書籍部 自己紹介

小平漁協の通勤娯楽

1999.3.7


 電車の吊革にぶらさがりながら停車駅が近づくたびに辺りを窺う。窓の外を振り返るか、 腰を浮かせる客がいればしめたもの、足をそっとズラセテ前に寄せる、それが座席確保の知恵。 中野、いやせめて新宿あたりで座れれば最高!
 まず新聞を読み終えてから、 残り時間で釣り本の数章に目を通せさえすればもはや悦楽の境地。JR中央線の車内での椅子取りゲーム、 目線がイヤシクなりました。

「岩魚の渓谷」

小 田 淳 叢 文 社 1600円

ここ暫く、小田淳の時代モノの釣り小説を読み漁ってきて、いささか食傷気味なのは否めなかったが、 ようやく現代モノ?にたどり着いた。
「命の鮭」「幻の魚」「山女魚」「岩魚」の四作品。 時代小説とはこれまたガラリと変わった設定。肉親を失って悲愴感ただよう釣り人が、 滅び行こうとしている渓魚にささやかな望みを託し‥・命を賭してこれら渓魚の存続を図ろうとする‥・ というのが概ねの筋建て。サラリーマンもの?時代小説と著者の釣り小説を読み継いできたが、この作品が一押し。

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