安曇野風来亭 道楽日誌 操業日誌 戦国山城散歩 キノコ図鑑 小平漁協書籍部 自己紹介

小平漁協の通勤娯楽

2000.9.30

  今シーズンも正しい釣りをしないままに終わろうとしています。眼を閉じれば釣り上げた魚のビッ クリした顔や恨めしい目つきが流れの様子とともに浮かんできます。まあ思い起こせるぐらいの数し か釣っていないわけですが。ラストチャンスの今週末も仕事です。


 仕事で川に行けない人間もいれば、NHKの番組制作スタッフとして仕事で川に通い詰めたこの本 の著者のような人もいます。

「サツキマスの川」佐藤智弘 風媒社 1550円 1991.7.5

  岐阜と福井の県境付近にある大日岳に源を発し濃尾平野を経て伊勢湾に注ぐ流程166キロの長良川。降海型アマゴのサツキマスが自然のままに生きる唯一の川。その河口堰の建設反対運動はあまりにも 有名だが、 これは声高に反対を叫ぶこともなく淡々と源流から河口までの流域の人々の暮らしと自然 との繋がりを綴る紀行エッセイ。
 郡上八幡の職漁師としてあまりにも有名な「万サ」こと故古田萬吉翁をはじめ、釣聖とまで讃えら れる恩田俊雄氏、 在野の淡水魚研究家、鵜匠、川魚漁師、シジミ漁師など、流域に暮らす人々と川や魚との触れ合いを丹念に描いている。 恩田氏が著者の眼前でサツキマスを釣り上げるシーンは圧巻。 釣聖の面目躍如といったところ。 清流に生まれて海に降り再び産卵のために帰ってくる「川のお姫さま」サツキマスに注ぐ流域の 人々の愛情は実はそのまま川に注がれる深い愛情なのだ。
因みに著者が制作したNHKの番組は「長良川魚影紀行〜サツキマス帰る日」。